第37話 ダンジョンへの第1歩㊲

「、、、」


「今回の作戦でお前が活躍できないっていうのははっきり言ってしまえば事実だ。でもそれはお前の実力不足だったり努力不足だからってわけじゃないだろ?それならしょうがないってことで割り切ってしまえ」


あとは光狩がどうやってそれを紹介していくかだけだ。俺にできることはもうない。俺は横になると光狩が一人で考えることを促すように目を閉じた。


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そしてそれから3日が経ち九条も『空間接続』を銃弾に付与することが確実にできるようになったことを確認したので、ついにアトラクテッドとの戦闘に入る。


俺たちは事前に決められていたような配置に入る。


俺は木に登っていつものように銃を構えてアトラクテッドに標準を合わせる。すでに九条の練習の時に何百発と放った時と全く同じだ。俺は確実に銃弾が頭に直撃するように調整してから引き金を引く。


銃弾は暗闇の森を切り裂くように鈍い色で光りながらアトラクテッドの頭へとまっすぐに進んでいく。そしてアトラクテッドから50mほど離れたところでそれがいきなり消える。


俺はアトラクテッドに銃弾が直撃したのか確認する前に排莢し次の銃弾を装填すると引き金を引く。俺はスキルのバフを得たこの体が動ける最高速で銃弾を放ち続ける。そのどれもがアトラクテッドから50mほどの位置で消える。


初めに放たれた弾丸は『空間接続』がうまくいったことでアトラクテッドの頭の中に直接出現しそのままアトラクテッドの頭を弾き飛ばした。それに続くようにして残りの弾丸がアトラクテッドの羽であったり胴体に着弾して次々の体の一部を削っていく。


俺がこの3秒間に放ったおよそ10の弾丸はすべてがアトラクテッドの体に何らかの傷をつけすでに見た目だけで判断するのならボロボロにした。


しかし、五つ星級のセルだ。それで終わることはない。先ほど銃弾によって吹き飛ばされた頭が首の断面から生えてくる。そしてついに今まで閉じられていた目が開けられる。その目は爬虫類のような鋭い目つきであり、目が合っただけで体が動かなくなるような威圧感を感じる。


頭だけでなく銃弾によって傷つけられた体を一瞬で再生したアトラクテッドは何とも形容しがたい声の咆哮を空に向かって放つとこちらに向かって羽を広げて飛びかかってくる。俺とアトラクテッドの距離はおよそ100mはある。しかしながらそれはアトラクテッドにとってごく小さな距離にしか過ぎなかったようだ。あっという間に俺の目の前まで来るとその鋭い歯で俺の頭を抉ろうとしてくる。


「危ない!」


食われると思って身構えた瞬間誰かに抱きしめられるような感触がした。目を開くと光狩が俺を抱えて森の中を疾走していた。

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