第38話 ダンジョンへの第1歩㊳
「大丈夫?マジで危ないところだったよ」
「、、、今どういう状況だ?」
「後ろからアトラクテッドが追いかけてきてる。後ろから聞こえるでしょ?」
確かに後ろからは木が折れるような音が絶えず聞こえてくる。
「よく逃げられてるな」
「森の中だからね。木をなぎ倒すって言ってもその分時間はかかるから」
「それで、どうする?」
「今のところは当てはないかなー、さすがに五つ星級のセルとまともにやりあったら一瞬で粉砕されるし」
そういう光狩は言っていることとは裏腹に深刻そうな顔だ。この森では何か隠れることができるような洞窟などは少なくとも俺たちは見てない。しかし、このまま走り続けてもいずれ森から出てしまうしそもそも光狩の体力が切れる。
「あいつのこと殺すことはできないのか?」
「来宝も見たでしょ?頭を吹っ飛ばされてもあいつは復活してた。多分俺たちの火力じゃいあいつを本当に殺すことはできない」
「でも、それだと、、、」
「わかってる。可能性があるとすれば九条さんのスキルしかないけど、この状況じゃそれもね。相当厳しい」
そういっている間にも森の終わりが近づいてくる。この森は相当な広さではあるが俺たちはアトラクテッドに追われて森の奥に向かうのではなく平原のほうに向かって逃げている。そのためあっという間に隣接する平原が見えてくる。あそこはちょうど先ほど俺たちがカマキリから逃げてきたときに走っていたところだろう。
森から出てしまうとアトラクテッドの行動を制限するものがなくなってしまう。そうなってしまうと光狩も追いつかれる。そうなるとあいつともろに戦闘を行うことになってしまうだろう。
「光狩、どうする!このままだと死ぬぞ!」
「神に祈るしかないでしょ!」
光狩はそういうと森から平原へと俺を抱えて飛び出す。
俺は急いで後ろから迫ってくるであろうアトラクテッドに視線を向ける。しかしながらなぜかアトラクテッドは森の端でいきなり止まるとこちらのことを威圧するような視線を向けてくる。しかし、それだけだ。まるでそこに壁があるかのように不自然にそこで止まった。
「はぁぁぁぁぁぁ、」
「もしかして神はまだ俺たちのことを見捨てなかったのかな?」
「あぁ、どうにもあいつは森の端で止まった」
「それは良かった」
光狩はそういうとゆっくりとスピードを落としてその場に立ち止まると俺のことを地面に卸してその場に倒れこむ。
「おい!大丈夫か?」
「はぁ、はぁ、うん、別に、疲れただけだから、はぁ、はぁ」
どうやら光狩もただの体力切れのようなのでアトラクテッドの方を見るとあいつはこちらに背を向けて森の中へ戻っていこうとしているところだった。
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