第34話 ダンジョンへの第1歩㉞

「すまねー」


「いや、今回の作戦が相当難しいのはわかってるからゆっくり確実にしていこう。時間はたっぷりあるんだからね」


「そうだ。それに俺が30mから撃てないのも悪いからな。負担をかけてしまって申し訳ない」


「、、、銃から銃弾が放たれてから俺から30mのところに来るまでの時間がわかれば行けると思うんだ。でも、それがなかなかつかめねー」


「うーーん、それは肌感覚でつかんでもらうしかないかな、、、俺たちよりもそういうのに九条さんのほうが敏感だろうし」


「あぁ、わかってるんだが、まだ時間がかかりそうだ」


アトラクテッドを倒すためには銃弾に『空間付与』を使って体の中に直接叩き込むことが必須だ。それができないと作戦は始まりすらしない。しかし、幸いなことに俺たちには時間がある。それができるようになるまで待ったところで別になんら問題はないのだ。というか何なら時間は余っているまである。今回の作戦についても『空間接続』ができるようになること以外に何か必要なことがあるかといわれるとそんなことはない。やるのはアトラクテッドを毎日観察することだけだ。しかしながらそれも全く持って動きがない。ここまで動かないと何かがないことには動かないような気もしてくる。不安要素のアトラクテッドの攻撃方法について何か知っておきたいところではあるがそれがわからない。


しかも、すでに野営するために必要な食料だったり水も十分な量が集まっている。それに野営場所に関する不安も特にない。となるとやることは本当にないのだ。そうなると必然的にスキルについて考えることが多くなる。


「九条のスキルはなんにでも付与できるのか?」


「なんにでもって言ったら語弊はあるが大抵のもにはできるはずだ」


「、、、やっぱりそのスキルチートすぎるな。距離の制限だって別に厳しいものじゃない。それこそなんか飛び道具を使ったらいいんじゃないか?」


「俺も最初はそう考えたよ。でも、まったくもってセンスがなかった。自分でもビビったぐらいにはなかった。本当に的が意思を持ってよけているんじゃないかって思うぐらいだ」


「あぁ、そりゃ厳しいな」


「だから近接戦闘ってことなの?バスタードソードを使って戦ってたけどあんまりスキルは使ってなかったよね?」


「あぁ、本当は使いたいんだけどな。あれを使って体を瞬間移動させるってなると周りの状況が一気に変わるだろう?だから多数と戦っている時に使うと事故が起きかねないんだよ。俺が全く意識してないところから突然攻撃されるかもしれないってなると使えないな」


「あぁ、なるほどね。それなら単体相手なら使ってるってこと?」


「あぁ、そうだ、と言いたいところなんだがそれでもあんまり使ってない」


「なんで?」


「あれちょっと酔うんだよ。それがちょっと使いにくくてあんまり使えてねー」


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