第31話 ダンジョンへの第1歩㉛

「まぁ、とにかく来宝のスキルが少しでもわかってよかったよ。ここから出るためにはどうにかしてアトラクテッドをやらなきゃいけないって考えると大きな収穫だし」


「でも、まずはこのフォレストウルフの死体をどうにかしないことには前に進めんな。血の匂いが濃くてかなわん」


俺たちはスキルについての話もほどほどにして戦闘の後処理に入る。周囲には俺の狙撃によって頭を失っているフォレストウルフだったり九条や光狩の斬撃によって体を両断されているフォレストウルフがいたり周囲には濃密な血の匂いが立ち込めている。


普通に考えたら食べきれない量のフォレストウルフだが俺たちはいつまでここに留まることになるかわからない。そのためどれも血抜きを行ってきちんと処理してから干し肉に加工する。


明け方から始めた肉の処理だったがあまりの量になんと夕暮れ近くまでかかってしまった。日が暮れてから行動するのは危険すぎるため今日はこれだけでおしまいだ。


「今日はそこまで睡眠をとれているわけでもないし、早く寝たほうがいい」


「そうだね。でもその前に来宝のスキルを検証してみないと」


「え?」


「それじゃ、ここからどこまで見える?」


「普通にスコープも使わなかったらあの大きな木ぐらいまでなら見える」


「うん、それは俺もそう。じゃ次は日暮れまで待とうか」


そのあともいくつかの体力テスト的なことをやらされてから日暮れを待つ。そして日が暮れたら今度はさっきと全く同じ事の繰り返しを行う。


「それじゃ、どこまで見える?」


「、、、さっきと変わらずあの大きな木までだ」


「、、、俺は見えんぞ?」


「うん、俺も見えない」


「は?」


「まずはほかのやつもやってしまおう」


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「やっぱり九条さんの仮説が正しかったみたいだね」


「あぁ、身体能力は大体日が出ている時に比べて5パーセントほど上がってる。それに視界に関しては昼間と変わらない距離まで見えてるみてぇだな」


「それに日が暮れてからはその銃自体にもバフがかかってる。仕組みについては全くわからないけど銃弾の消費がなくなって銃自体の有効射程も伸びてるみたいだ」


「こりゃ、すげースキルだな。ここまで身体能力が上がるスキルなんて聞いたことねー。それに武器自体にもバフがかかるってのは初耳だ」


「時間指定っていう縛りがあるからこそスキルの能力がもしかしたら底上げされているのかもしれないね。とにかくめちゃくちゃ強いスキルってことには違いないと思うよ」

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