第29話 ダンジョンへの第1歩㉙
そして夜がやってくる。周囲はすっかり闇に浸食されている。見えるのは明かりでともされたごく小さな範囲だけだ。音も灯された火が燃えるパチパチといって音だけで非常に静かだ。
「寝るときはどうする?交代で周囲の警戒ってことにするか?」
「そうだね。さすがに火を灯していてあんまりセルが近づくことはないような状況になっているとはいえさすがに無警戒ってのは怖すぎるからね」
「それじゃ、まずは俺が警戒をしよう。出月はこういうの経験したことがないだろう?それならできるだけ寝たほうがいい」
「わかった。それならお言葉に甘えて先に寝させてもらう」
「日が昇るまでの3時間交代ってことでいいか?」
「うん。もし何かあったらすぐに起こしてくれていいからね」
「あぁ、わかった」
「それじゃ、おやすみ」
「おやすみ」
「いい夢見ろよ」
俺と光狩は簡易的に作られた寝床に向かうと横になる。寝返りを打つと下に敷いてある落ち葉がガサガサいうが意外と寝れないこともない。疲れていたこともあって俺はすぐに寝てしまった。
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「来宝、起きて。交代の時間だよ」
「ん、、、」
光狩に体を揺さぶられて眠い目をこすりながら起きる。
周囲はまだ暗闇包まれていて静かだ。
「それじゃ、あとは頼んだよ。何かあったらすぐに起こしてくれていいからね」
「わかった」
光狩はそれだけ言うとすぐに寝床へと入っていき寝始めた。俺はそれを見届けると火が灯されている囲炉裏のようなところへと向かう。秋とはいえ夜は冷える。囲炉裏で暖を取りながら時間を潰していく。
俺が見張りに入ってから少したってウトウトしていると近くの草むらからガサッという音が聞こえる。
一気に目が覚めた俺は横に置いてあったスナイパーライフルをとると距離をじりじりと取りながら銃を構える。その時反対方向からもガサガサという音が聞こえる。俺は音が聞こえたほうに銃を構える。すると今度は周囲のあらゆるところからガサガサという音が聞こえてくる。しかも、いつの間にか周囲には赤い獣が目が浮いている。
俺はできるだけ獣の群れから目を離さないようにしながら2人が寝ているところへと向かい2人を起こす。
「ん、、、?どうしたの?」
「囲まれてる」
「囲まれてるって何にだ?」
「おそらくフォレストウルフの群れだ。結構な数がいるぞ」
「っ、初日からついてねーな。これじゃ、休めたもんじゃねー」
九条はそう言いながら彼の武器であるバスタードソードを構える。
「来宝は後ろから狙撃をお願い。俺たちの援護をしてほしい」
「わかった」
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