第28話 ダンジョンへの第1歩㉘
俺は倒れたフォレストウルフの元へと向かいそれを野営場所まで持ち帰る。俺がやった個体はそこまで大きいものではなかったのでしんどいことに変わりはないがどうにか一人で持っていくことができそうだ。
野営場所まで変えるとそこではすでに火が灯された簡易的な囲炉裏のようなものが作られており、その近くには落ち葉がきれいに敷き詰められている寝床らしき場所も完成していた。
「来宝お疲れ!そいつが仕留めた獲物?」
「あぁ、そこまで大きくはないが十分な大きさだろ?」
「それなら俺がちゃっちゃっと血抜きをやってくるかね」
どうやら九条には血抜きの経験もあるようなので処理は彼に任せて俺と光狩はこれからのことについて話し合う。
「アトラクテッドには動きがないのか?」
「今のところは大きな動きはないかな。ただ、死の気配に当てられたセルがこっち側に逃げてきてるから周辺にいるセルの数がちょっとづつ増えてきてるね」
「そうなるとここももしかしたらセルの襲撃を受ける可能性があるってことか」
「まぁ、そうならないために火を灯しているんだけどこれだけ数が多いともしかしたら近づいてくる個体がいるかもしれないね」
「正直これからここに長く滞在することになるなら俺は銃弾の数が持たない。なるべく銃を撃つ機会を少なくしたいんだが」
「そうだね。この状況で戦力が少なくなるのは避けたいからこれから来宝にはなるべく戦闘を避けることになってもらうと思うよ」
「銃弾は残り何発あるんだ?」
処理が終わったのであろう九条がそう言いながらこちらに帰ってくる。
「残りは30発ほどだ」
「30か、あいつとやりあうかもしれないと考えるとちと心もとないな。お前のスキルでどうにかできないのか?『夜』ってスキルは聞いたことがないんだが」
「、、、俺のスキルは使えない」
「なんでだ?」
「今まで一度も発動したことがない。使おうと思っても使えないんだよ」
「そんなことあんのか?今まで確認されたどんなスキルも発動することができなかったことはないはずだ。どれも小さくてもなんか効果があったはずだ」
「そういわれてもまだ発動できたことがないからわからん」
「そうか、、、もしかしたらなんか発動条件があるのかもな。そういうスキルがあるってことは耳に挟んだことがある」
「ともかくまだ夜まで時間はあるけど今日のところはここから動かないようにしよう。ここで行動して怪我なんてしたら話にならないからね」
俺たちはそのあと日が暮れるまでこれからのことだったり様々なことをしゃべったりして時間を潰すことにした。
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