第27話 ダンジョンへの第1歩㉗
「野営って、まだ昼間だぞ?」
「いや、その方がいいと俺も思う。なんたって俺たちにはあいつをどうにかする方法がねーわけだろ?それならいつここから出れるかわからんわけだ。それならここで野営の準備を始めるほうがいい」
「九条さんは何か野営するための道具とか持ってきてる?」
「いや、持ってないな。そもそも今日は日帰りでダンジョンに潜る予定だったからな」
「まぁそうだよね。一つ星級のシーカーが遠出をすることなんてほぼないし」
「野営をするならまずは何が必要なんだ?俺はキャンプとかもしたことないからさっぱりなんだが」
「まぁ想像する通りだと思うけど一番いるのはテントだね。ダンジョンの中でも夜はやっぱり気温も落ちるし低体温症の危険もあるから」
「その次に必要なのは明かりだな。夜に明かりが全くないと緊急の時に危険が高くなるからな。それにフォレストウルフなんかが近寄ってこないようにするためにも火が必要だ」
「でもそのテントがないんだろう?どうするんだ?」
「うーーん、まぁ最悪枯れ葉とかの上に何かを敷いて寝っ転がることもできなくはないからそうなるかな」
「明かりは火で補える。火はスキルじゃなくても出せるからな。まずは火起こしだろう」
「見た感じここは野営に適しているみたいだしここで野営をするってことでいいと思う」
「それなら俺は何をすればいいんだ?」
「来宝は狩りをしてくれない?ここから出ることは当分できないかもしれないからひとまず食料を確保しときたい」
「わかった」
「それなら俺は火を起こしておこう。ダンジョンで火起こししたことはないがキャンプでならやったことがあるからな」
俺は二人から分かれると適当な木に登って獲物となるフォレストウルフがいないか確認する。見たところやはりアトラクテッドがいる方向には生物を見つけることができない。セルたちも本能的にあの死の気配を察知してできる限り離れているか、それかもう死の気配で死んでしまったのだろう。ただ、アトラクテッドと逆方向の森には多くのフォレストウルフがいることが確認できる。
多数を仕留めたところで野営の場所まで持って帰ることはできない。だからこそ仕留めるのは一匹だけだ。それになるべく野営場所から近いところがいい。そしてちょうどいいところに一匹のフォレストウルフが歩いていた。どうやらそのフォレストウルフはまだ若いようで殺気立っているのがここからでも見てわかる。
俺は慎重にスコープの標準を合わせながら確実に一撃で、そしてあまり体に影響がないように頭に狙いをつける。そしてそのフォレストウルフが立ち止まったその瞬間俺は引き金を引いた。
まっすぐにフォレストウルフの頭に吸い込まれて行った弾丸は顎の付近に直撃するとそのまま頭をはじけ飛ばした。頭を失ったフォレストウルフは首から多量の血を流しながらその場に倒れる。
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皆さんメリークリスマス!
ってことで今日と明日は一日3話投稿します!
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