第26話 ダンジョンへの第1歩㉖
「なんだ!何が起きた!」
「あいつは周辺に死をもたらす何かを放出するんだ!あれを食らったら死ぬぞ!」
「っ、さすがにあれはどうしようもできないぞ!」
「アトラクテッドは五つ星級の中ではそこまで凶暴じゃない!近づかなければこちらに被害が出ることはないはずだ!」
「光狩!どうする!?」
「いったん引こう!さすがにこのまま五つ星級と当たってもどうしようもないからね!」
陰から出現したアトラクテッドは幸いなことに出現した場所から動くいていない。周囲には濃密な死の気配が漂っているもののそれだけと言えば、それだけだ。さっきのカマキリのようにこちらに積極的に襲い掛かってくることもないので逃げるだけなら簡単だ。
俺たちはアトラクテッドのことをぎりぎり視界に入れることができるところまで下がると周囲の安全を確保してからつかの間の休息に入る。先ほどまで階段のあったところには相当な数のシーカーがいたのにもかかわらず今ここにいるのは俺と光狩、そして先ほど話しかけてきた男性のシーカーだけだ。様々なところに散らばるような形で生きているシーカーたちもいるだろうがあそこにいたシーカーの大半があの場で命を落としたと考えるのが妥当だろう。
「それであんたの名前は何なんだ?」
「俺か?俺は九条だ。
「それであんたのスキルは?」
「おいおい、そんなこと初対面のシーカーに聞くの?そりゃ、あまりにも礼儀知らずってやつだろ?」
「俺の名前は
「出月来宝だ。スキルは『夜』」
「そう誠意を見せられたら俺も言わないわけにはいかないよな。スキルは『空間接続』だ」
「『空間接続』?どういうスキルだ?」
「文字通り空間をつなげられるんだよ。例えばこんなことだってできる」
九条はそういうと歩き出す。そしてその瞬間突然姿を消した。
「なっ!」
「ここだよ」
九条はそう言いながら俺の後ろから現れる。
「こんな感じでワープすることができる」
「マジか、、、」
「でも、それならダンジョンの階層をまたいで移動することもできるはずだから外に出れるんじゃないの?」
「いや、そんな便利なものじゃないさ。距離も自分から30m以上離れていると使えないし、空間が切られていると使えない」
「壁は貫通出来ないってことか?」
「普通の壁なら貫通できるんだが、ダンジョンの壁みたいに特殊な壁を越えることはできないってことだ」
「なるほど、、、バランスはちゃんと取れてるってことか」
「ともかく今の俺たちにある手札はこれだけってことだね。最悪を考えるのならもう今日の野営の準備を始めてもいいかも」
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