第25話 ダンジョンへの第1歩㉕

どうにかカマキリとの剣戟に再び持ち込んだ光狩だったが、カマキリのスピードについていけずだんだんと体に傷が増えていく。周りのシーカーたちも先ほどの虐殺を見たことによってカマキリから距離をとるようになり援護も受けられていない。


しかし、俺から見るとカマキリにはいくつか隙がある。俺は空薬きょうを出して銃弾を装填しなおすと慎重にスコープを合わせていく。そして深呼吸をしてからスコープを覗いて引き金を指をかける。狙うのはカマキリの両方の鎌を同時に光狩が受け止めた瞬間だ。


そしてその瞬間が来た。カマキリの鎌を双剣で光狩が防いだ瞬間に放たれた弾丸はカマキリの無防備になっている腹へと吸い込まれていく。弾丸はカマキリの腹を抉るようにして貫通していく。


腹部に大きな穴が開いたことによって弱ったカマキリの隙をつくようにも光狩が凶器となる鎌を付け根の柔らかい部分から切り落とす。そしてそのまま頭部に2本の双剣を突き刺す。


その瞬間カマキリがマリオネットの糸が切れたかのように地に落ちた。


「、、、うぉぉぉぉぉぉぉ!」


少しの間の後に周りにいたシーカーたちから大きな歓声が上がる。その場に倒れこんだ光狩にねぎらいの言葉をかけているシーカーたちも散見された。


『大丈夫か?相当やばそうだったが』


『あぁ、、本当にやばかったけどどうにか大丈夫だよ。本当に生きているのが奇跡みたいだよ』


『ともかく無事ならよかった』


俺は木から飛び降りると光狩がいるところまで向かい、腕をとって起き上がらせる。


「、、、興奮しているところ悪いが階段は復活していないぞ」


その時、先ほど俺たちに話しかけてきたシーカーがそういうと盛り上がっていたシーカーたちは再び静かになる。


「あのカマキリが今回の現象の理由の可能性が高かったって話じゃなかったか?」


「あくまで可能性の話だ。確定事項じゃない」


「だとしても!まだ階段が消えているってのは事実だ!どうするんだ?」


「どうするって俺たちにそんなこと言われても、、、!」


その時先ほどのカマキリとはあまりにも違う死を纏った気配が突然シーカーたちの中に出現する。それはまるで影のごとく地面に黒い丸を作り、それを大きくしていく。


「っ、今度は何なんだ!」


黒い影は大体半径10mほどの大きさまで広がると動きを止め、中から何かが出現する。それは見ただけでまるで自分が死の淵に立っているかのような異様な雰囲気を醸し出しながら、中から浮かび上がってくる。


「っ、アトラクテッドだと!」


「知ってるのか?」


「あぁ、小平ダンジョンで確認されたセルだ。階級は五つ星級、、、」


「五つ星級!そんな化け物、、、」


俺がそう言おうとした瞬間突然濃密な死の気配が周りに広がっていく。俺と光狩など数人のシーカーはそれを感じ取って後方へとバックステップで一気に下がるが、そういかないシーカーもいる。そうして濃密な死の気配に纏わりつかれたものはまるで魂を吸い取られたかの様にその場に崩れ落ちる。

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