第23話 ダンジョンへの第1歩㉓
スコープを覗きながらカマキリを探すと案外すぐに見つけることができた。カマキリは平原で戦っていたパーティーを丸々一つ簡単に壊滅させ、それを食っているようだ。相変わらず遺体をずたずたに切り裂いてから少し食べるとまた違う遺体を切り裂いて少し食うということを繰り返している。
「見つけたぞ。今はパーティーを一つ壊滅させてそれを食ってる」
「わかった。まだここからは離れているんだよね?」
「あぁ、そこそこ離れているな。でもあいつのスピードは尋常じゃない。すぐにここまで来るかもしれない」
「わかった。来宝は壁際にある木から狙撃をしてくれ」
「了解だ」
俺が狙撃銃を丸出しのまま移動しているためか、階段があったところにいたシーカーたちがざわめき始める。
「おい、どうして銃を持ってるんだ?別に近くにセルがいるわけじゃないだろう?」
「今回の階段の消失の原因かもしれないやつがここから少し離れたところにいる。そいつはおそらくここに攻撃を仕掛けてくるはずだ」
「階段の消失の原因になったやつだって?そんなのわかるのかよ」
「まだ、確定じゃない。でも本来ならいないはずのセルがここにこのタイミングで出現してることを考えると、それが原因になっている可能性がある」
「まさかイレギュラーが発生してるのか?」
「あぁ、ただあのセルが何なのかわからない」
「とにかく、そいつを倒さないと出れないってことなんだな?」
「おそらくは」
俺に話しかけてきた男は髪を掻き毟ると覚悟を決めた表情を浮かべる。
「そういうことなら、やるしかねーな」
「おい、聞いてくれ!どうも今回の以上の原因になっている可能性のあるセルがこの階層に出ているらしい!そいつはイレギュラーだってことだがそいつを倒さないことには俺たちはダンジョンの外に出れん!それならやってやろうじゃないか!」
いきなりの演説に大半のシーカーは戸惑うか階段がなくなったことで気がくるってしまったのだろうと考えたのかろくに聞きもしなかった。しかし、一部のその話を信じたシーカーたちは自分たちの武器を取り出すと光狩がいる前線へと集まっていく。
とはいえ、大半のシーカーたちが動こうが動かなこうが俺がやることは狙撃をすることだけだ。俺は木に登るとスナイパーを構えてカマキリを探す。するとどうやらさっきのパーティーたちを食い尽くしたのか、それとも興味を失ったのかはわからないが深紅のカマキリがこちらへとゆっくり近づいてきていた。それはまるで獲物を狙う肉食獣のような動きであり、ただの虫ではないと知らしめてくる。
「光狩!動き始めたぞ!」
「了解!」
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