第20話 ダンジョンへの第1歩⑳
俺たちがギルドに入るといつもに比べて何やら慌ただしいように見えた。いつもなら一人は座って受付をしている嬢も今日はおらず、ギルドの中を走り回っている。さすがに忙しくしているのに話しかけるのは迷惑すぎるので、気になるが武器貸し出し所に向かう。
そこだけはいつものように静かで受付嬢も座って受付を行っていた。
「おはようございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「武器の貸し出しをお願いします」
「了解いたしました。それではこちらにカードをかざしてください」
俺たちは言われたとおりにカードをかざすといつも借りているやつを持ってきてもらう。
「本日は何階層で狩りを行う予定でございますか?」
「今のところは第2階層の予定です」
「そうですか。それならいつも通りで大丈夫だと思いますよ」
「今日、慌ただしいんですけどどうしたんですか?」
「それがですね、第20階層に潜っていた五つ星級のシーカーたちから救援要請が届いたんですが、そのあと連絡をつかなくなってしまったんです。行方不明シーカーが五つ星級だったことを考えるとイレギュラーが発生している可能性が高いんです」
「なるほど、だから今日はこんなに騒がしいんですね」
「えぇ、おそらく普段通りだと思いますが何か異変を感じたらすぐに帰ってくるようにしてください」
受付嬢からわけを聞いた俺たちは借りた武器を背負うとダンジョンへと向かう。ダンジョンの周りには多くのシーカーやギルド職員がおり物々しい雰囲気になっている。
俺たちはその間を通り抜けると門を開けてもらいダンジョンの中へと入っていく。
いつものように静かな第1階層を抜けて第2階層に向かう。そこも前回と変わらずいくつかのパーティーが戦闘をしていることを除けば静かであった。
俺たちもほかのシーカーたちと狩場が被らないように注意しながら森の中へと入っていく。適当の場所につくと俺は木に登って前回と同じように敵を探す。
しかしながら、今日はどうも敵の数が少ない。いたとしても一匹で、しかも怪我を負った状態でいるフォレストウルフしか見つからない。基本的に怪我をしているセルを攻撃するのは横取りになる可能性があるのでシーカーたちの間では御法度になっている。そのため今のところ仕留められたフォレストウルフはゼロだ。
『おい、光狩、これ誰かと狩場被ってないか?怪我してるセルしかいないぞ?』
『いや、そんなことはないと思う。そもそもこんな数のフォレストウルフを取り逃がすなんてことはさすがにしないと思うし』
『つまりなんだ?このフォレストウルフはシーカー以外の何かにやられたってことか?』
『まぁ、その可能性が高いってことになるよね』
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