第14話 ダンジョンへの第1歩⑭

残った2匹のフォレストウルフは3匹の仲間が立て続けにやられたことで怖気づいたのか光狩に背を向けないようにしながらもじりじりと下がっていく。


しかし、それは俺からすればチャンスでしかない。1匹に標準を合わせるとそのままそいつの頭に銃弾を叩き込んではじけ飛ばす。そしてついに自分だけとなったことで恐怖に耐えられなくなったのだろう。残った1匹のフォレストウルフは光狩に背を向ける全速で逃げていく。


そのスピードははじめ見つけた時のスピードとは比べ物にならないほど早く、あのスピードで動くものに狙撃するのは今の俺の腕だとできない。そしてさすがの光狩もあの速度に追いつくことはできない。


ただ、1匹逃がしてしまったとはいえ初見でフォレストウルフの群れに被害も出さずに完勝できたのは良かった。


俺はスナイパーライフルを片付けると木から降りて光狩の元へと向かう。


少し離れていたので俺がつく頃にはすでに光狩が2匹の解体を終わらせていて、煌石を取り出していた。その石はソルジャーゴブリンの物と比べると若干だけ緑がかっているように見える。そしてその煌石の隣にははがされたフォレストウルフの毛皮が干してある。


「フォレストウルフは毛皮も売れるのか?」


「うん、すごい毛並みもいいからね。さすがに両断したやつとかの毛皮は売れないけど、胴体が丸々残ってるやつは結構いい値段で売れる」


「そうなのか。だからここはシーカーが多いんだな」


「ゴブリンと比べると1匹の値段が全然違うからね。でも、今回は売らないでおこうと思う」


「それなら何に使うんだ?別に俺はプライベートで毛皮のコートを使うようなしゃれた人間じゃないぞ?」


「別にプライベートで使うために使うんじゃなくて、ダンジョンに潜るときの装備としてちょうどいいかなって思うんだ。フォレストウルフの毛皮はモフモフなんだけど意外と堅いんだよ」


「なるほど、、、それなら防具として使うのにぴったりってことだな」


「そういうこと。でも別に売りたかったら売ってもいいよ。これは俺だけの物じゃないからね」


「いや、防具にしよう。これからもダンジョンに潜るなら安全マージンはとっておいて損はないはずだ」


「それなら、これは出てから加工屋に持って行って防具にしてもらおうか」


「わかった。それと、探索はどうする?まだ時間的には余裕だが」


「うーーん、そうだね、、、毛皮を持ってなきゃいけないって考えると少し戦いにくいかな」


「大きい獲物をしとめたらどうするんだ?」


「その時は荷物をキャリーっていう荷物を運んでもらう係の人に頼んで上までもっていってもらうんだけど、別にそれをするほどの階層にいないからね。普通に帰ろうか」

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