第13話 ダンジョンへの第1歩⑬

倒したゴブリンソルジャーの煌石を回収しきった俺たちは次の獲物を見つけるために森の中を歩き始める。


「そろそろ本格的に森の中に入るか?」


「そうだね、ここだとフォレストウルフは出てこないだろうしそろそろ中に入ってもいいと思うよ」


というのも俺たちは今まで射線が通りやすく、戦いやすい森と平原の中間のようなフィールドで戦ってきていた。ただここは森の中と比べるとセルの数も少なく、さらに森での生存競争に負けた弱い個体しか出てこない。第1階層ではセルの個体差も小さいので森の中を経験しなくてもどうにかなっていたが、ここからはきちんと経験を積んでから下の階層に行かないとしんどくなってくる。


「ただ、森の中に入ると俺の射線が通りにくくなるな」


「いっそのこと木の上に登ってみたら?そっちの方が撃ちやすくなるでしょ。この森には木の上に上ってきて攻撃するようなセルもいないし」


「そうなると俺は動けなるがいいのか?」


「まぁ、後方支援ってそういう役目だから。近接戦闘は俺に任せてくれていいんだよ!」


とのことだったので、俺は森の中に入ってから少し歩いたところにある射線ができるだけ通りそうな気に上って銃を構える。ここではバイポットを立てることができないので普通に銃を持って構える。反動が怖いが、まぁどうにかなるだろう。


持っていた双眼鏡で周りを見ながら獲物がいないか探す。


探すこと数分、遠くの森に5匹の群れで行動しているフォレストウルフが見えた。俺はスコープを調整して合わせてからフォレストウルフに標準を合わせる。


かなり早い速度で動いているのに加えて時々木が遮蔽物になって撃てないところがあったりとなかなか標準を合わせることができない。その時、スコープの中にいきなり光狩が飛び込んでくる。


走って移動していたフォレストウルフの群れに光狩は横から剣で切りかかることでその動きを止める。突然の襲撃に思わず止まってしまったフォレストウルフ。その瞬間、俺は引き金を引く。


俺が放った弾丸は光狩と睨み合っている1匹のフォレストウルフの頭に直撃するとそのまま爆散させる。俺は素早くリロードをして次の獲物に標準を合わせようとする。しかし、フォレストウルフも簡単にやられてくれるわけじゃない。群れの仲間の頭が爆散したにも関わらず何事もなかったかのように光狩に飛びかかる。鋭い爪を振りかざすフォレストウルフを受け流しながら光狩もすれ違いざまにカウンターとして剣を薙ぎ払う。


カウンターを叩き込まれたフォレストウルフは血を腹から流しながらよろめく。光狩はそのすきを逃さずにそのフォレストウルフの首を跳ね飛ばす。しかし、跳ね飛ばした瞬間今度は違フォレストウルフが光狩の後ろから鋭い爪をむき出しにして、飛びかかる。


その爪が光狩を貫く寸前、俺が放った弾丸が飛びかかっていたフォレストウルフの胴体に直撃した。衝撃によって胴体が真っ二つになったフォレストウルフはそのまま地に落ちる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る