第12話 ダンジョンへの第1歩⑫

ともかく俺たちは初めて見た同業者たちのきれいな戦闘を見ながら先に進む。ダンジョンの中で勝手に手助けに入ると獲物を横取りしようとしたと勘違いされてしまう可能性があるためたとえ近くで同業者が戦闘をしていても、本当に危なそうじゃなければ助けに入らないのが暗黙の了解らしい。


少し歩いているといくつかの同業者パーティーを見ることができた。どのパーティーもそこそこ経験があるようで危なげなくセルと対峙している。こうやって見ると2人しかいない俺たちは珍しいのかもしれない。


「単独で狩りをしているシーカーはいないのか?」


「基本的には4人とかでパーティーを組むらしいよ。単独でやるのは相当の猛者ぐらいらしい」


そう話していると目の前にゴブリンの集団が見えてくる。そのゴブリンは確かに第1階層で見たものよりもがっしりとしていて、持っている剣も剣といっても問題ないようなものになっている。


「俺からやっていいか?」


「先に戦闘を始めちゃっていいよ。でも今回は俺も途中から参戦する。そろそろ集団戦闘にも慣れていかないとね」


とのことで、俺はライフルケースからスナイパーライフルを取り出すとバイポットを立ててスコープの標準を合わせる。その間にも光狩はゴブリンソルジャーの元へと走っていき、激しい剣戟を開始する。


やはり第1階層のゴブリンとは見た目だけだなく性能も変わっているようで、第1階層では力負けすることのなかった光狩が少し力負けをしていて、防戦一方といった感じになっている。


ただ、それをどうにかするのが集団戦闘というものだ。剣戟を繰り広げているため激しく動き回っているゴブリンを撃ち抜くのは止まっているものを狙うのことよりもはるかに難しいものの少しだけ止まった瞬間を見計らって引き金を引く。


俺が放った弾丸はゴブリンの頭を狙ったにもかかわらず少し標準がずれていたことと突然ゴブリンが飛び跳ねたことによって脇腹の一部を貫くにとどまる。


ただ、一撃で殺すことはできなかったものの体に小さくない傷をおったゴブリンの動きが鈍くなる。光狩はその隙を逃さず、ゴブリンの頭を跳ね飛ばすと後ろから飛びかかってきていたゴブリンを蹴とばす。


その蹴とばされたゴブリンの頭を装填の終わった俺が撃ち抜いて爆散させる。


元々いくつかのゴブリンソルジャーと光狩で保たれていた均衡が2匹の離脱によって崩されたことによってそこからは戦いというよりも蹂躙に近い光景が繰り広げられ、ゴブリンソルジャーの群れは全滅した。


返り血を浴びて血まみれの光狩の足もとに転がっている殺したゴブリンソルジャーの胸を切り開いて煌石を取り出す。その煌石は第1階層のゴブリンのものと比べて少し大きく、そして色が濃くなっていた。


「煌石の色って変わるのか?」


「確か、弱いセルは透明に近くてそこからだんだんと色がついていくって感じだったかな。どの系統の色がつくかはそのセルによるみたい」

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