第10話 ダンジョンへの第1歩⑩

まずはこの階層で体を慣らすためにゴブリンを仕留めることにする。ただ、意外にもどうやらゴブリンはそこまで個体数が多くないみたいで相当歩き回らないと見つからない。


20分ほど歩きまわってようやく目的であるゴブリンを見つけた。


「今回はどっちからやるんだ?」


「今回も来宝でいいよ。遠距離武器ってそういうもんでしょ?」


「わかった」


俺は昨日と同じように肩からライフルケースを下してスナイパーライフルを取り出すと、バイポットを立てて構える。


ゴブリンに合わせてゼロイン調整を行いスコープの真ん中から少し下に入ったゴブリンの頭に向かって引き金を引く。


昨日と全く同じような弾道で飛んでいった弾丸はゴブリンの頭のど真ん中にきれいに命中するとそのまま頭を弾き飛ばした。俺はその勢いのまま隣にいたゴブリンに標準を合わせてまたも頭を吹き飛ばす。


「うまい!さすが来宝」


「俺をおだてても木には登らんぞ。それより次は光狩の番だ。行ってこい」


「それじゃ、光狩!行ってまいります!」


光狩はそういうととんでもない速さでゴブリンの元へと走っていく。もとから運動神経は良かったが、さすがにあそこまで早くはなかったはずだ。これが、例の『闘気』の恩恵なのかもしれない。


ゴブリンの元へとたどり着いた光狩は昨日よりも滑らかに剣を振るとそのまま一匹のゴブリンの首を跳ね飛ばす。その間にもう一匹のゴブリンが光狩の背中に向かって持っていたナイフの残骸のようなものを突き刺そうとするが、まるでそれがわかっていたかのように光狩は後ろに回し蹴りを放ってナイフを遠くに飛ばす。その勢いのまま後ろにいたゴブリンの首に向かって剣を振りそのまま首を跳ね飛ばした。


あまりの早業に唖然としている俺に向かって光狩が満面の笑みで手を振ってくる。


俺は満面の笑みで立つそばにあるゴブリンの亡骸から煌石を回収するために光狩の元へと向かう。


「すごかったな。あんな動きができるなんて理解できん」


「俺も驚いたよ。今までなら絶対にできなかったと思う。なんか、ダンジョンの中だと体が思った通りにスムーズに動くんだよね。ラグがない感じ」


「俺にはそのラグがある感覚すらわからんが、とにかくすごいことは伝わってきた。それで、この後はどうする?次の階層に進むか?」


「そうだね。もうこの階層にいる敵は余裕をもって倒せるようになったし、次の階層に進んでいいと思う。それにこの階層は稼ぎがよくないし」


「わかった。階層をまたぐためには階段を下るんだったか?」


「うん。階段がある位置はもう調べてきたからそこに向かったら行けると思う。次の階層も一つ星級のセルしか出ないみたいだけどあんまり油断しないで、やっていこ」

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