第9話 ダンジョンへの第1歩⑨

ともかく俺たちはやることもないのでそのままそれぞれの家に帰った。


今日を振り返ってみるといつもの日常とはかけ離れているものではあったが新鮮な一日であったことに間違いはない。、、、こういう日もたまにはあってもいいかもしれない。


そして次の日、俺はいつも通りの時間に起きてコーヒーを片手に朝の情報番組を眺めていた。内容はもちろんダンジョンのことだ。ダンジョン関係のことはまだ決まっていないことであったり、わかっていないことも多い。それゆえに様々なスタンスがあるため、まだ混とんとしているらしい。


優雅な朝を過ごしていると玄関の方から鍵が開いたような音が聞こえてきた。とはいえ、そんなことはありえないのでまず間違いなく幻聴だろう。というか幻聴に決まっている。


「おっはよー!今日もダンジョン行こ!」


「帰れ」


ドアを勢いよく開ける音とともに騒音光狩が入ってきた。


「もう、来宝は冷たいな」


そう光狩は言いながら部屋の中へとずかずかと上がってくる。


「ダンジョンは昨日言っただろう?面白くなかったとは言わんが、連日行きたくはない」


「えーー、俺は早く下の方に潜りたいよ」


「だめだ。俺は昨日ので疲れた」


「そんなこと言っても来宝無職じゃん。昨日稼いだお金なんて雀の涙なんだから今日も行かないとお金尽きるよ?」


「ぐっ、、、お前は仕事に行かなくてもいいのかよ」


「そりゃ、俺は優秀だからね。有休をとっても大丈夫なぐらい働いてる」


「、、、お前有休までとってダンジョンに行きたいのか」


「まぁ、会社から頼まれてるってのもあるんだけどね。『ダンジョンの中がどうなっているのか教えてくれ!そのためにお前に長期的な休みをやるから!』って言われた」


「長期的な休み?どんぐらいだ?」


「大体、半年かな」


「半年!?お前、半年間毎日ダンジョンにいくつもりか!?」


「いや、仕事だからそうでしょ。俺の会社ってちょっと最近行き詰ってるからなんか新しいことに手を出したいらしい。ともかく、行くよ!」


俺は光狩に引きずられるようにしながら強引に昨日言った蒲田ダンジョンに連れていかれる。


昨日とは違って朝早いからか蒲田ダンジョンのギルドの中は閑散としていた。昨日は忙しく動き回っていた受付嬢もゆったりと仕事をこなしているように見える。


俺たちは昨日と同じように武器を借りるために武器貸し出し所に向かうと昨日と全く同じ武器を借りて、ダンジョンへと向かう。


ダンジョンの入口でカードだして柵を開けてもらい、俺たちはダンジョンの中へと入っていく。そこには昨日と全く変わっていない景色が広がっている。


そしていま気づいたんだが、どうやらダンジョンにも時間の概念はあるらしい。明らかに昨日よりも日の位置が低い。ここにもどうやら夜というものはあるようだ。

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