第7話 ダンジョンへの第1歩⑦
それから少し歩くとスライムが地面を飛び跳ねながら移動しているのが見えた。その姿は凶悪というよりもどこか愛らしいといったほうが適切だろう。
「光狩、あれのどこが危険なんだ?見ている限りだと危険な感じはしないが、、、」
「うーーん、俺も実際に見たことがあるわけじゃないから詳しくはわかんないけど、近づくといきなり大きくなって取り込まれちゃうらしいよ」
「、、、どういうことだ?そりゃ」
「俺もまだ理解できてない。でも、取り込まれると窒息するらしい」
「マジか、、、見かけによらんな」
「とにかく危険らしいから油断はしないようにね」
「あぁ、もちろんだ」
「ちょうど2体いるから1体ずつ仕留める?」
「そうだな」
「それじゃ、先、来宝やっちゃっていいよ」
「わかった」
俺は先ほどと同じようにしてスナイパーライフルを取り出して構えると、ゼロイン調整を行う。そして標準のど真ん中よりも少し下に入ったスライムに向かって銃弾を放つ。
重力によって少し落ちながら進んでいく銃弾はスライムのど真ん中に命中すると、そのままスライムをバラバラにして吹き飛ばした。
「やるね!」
「まぁ、ゴブリンと大して変わらないしな」
「それじゃ、次は俺の番!」
光狩はそういうとスライムに向かって一気に駆け出していく。相当の速さでスライムのもとにたどり着いた光狩はスライムに向かって持っていた剣で一閃する。
そのままスライムを両断すると思われた剣だが、なんとスライムの弾力のある体に入ったところで一気に失速してそのまま体内で受け止められてしまう。しかも、スライムには痛覚がないのか、剣が半分に体に突き刺さった状態のまま光狩のことを取り込もうと一気に膨らんで光狩を取り囲む。
しかし、取り囲まれた瞬間、光狩は使っていなかったもう一方の剣で突き刺さっていた剣を思いっきり叩きそのままスライムを両断した。
剣が体に刺さった程度ではびくともしなかったスライムだがさすがに体を両断されると厳しいのかそのままその場に崩れ落ちると少し痙攣したのちに、事切れた。
「危なかったな」
「そうだね。まさか剣が受け止められるとは思わなかったよ」
「スライムが大きくなって取り込まれるってのはああいうことだったんだな」
「ね。中から見たスライムは翡翠色できれいではあったけど、さすがに二回目は勘弁だね」
俺たちはスライムの体の中で唯一価値がある煌石を回収して、その場を去りダンジョンの出口を目指す。ダンジョン初日にしてはよくやれていたほうなのではないだろうか。これで一応第1階層にでるセルはすべて倒したわけだし、次の階層に進んでも大丈夫だろう。
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