第61話

「ねえ、蓮君ってどうやって練習してそんなに綺麗な音が鳴らせるようになったの?」


ある日のパート練習が終わった後そう話しかけてきたのは美月だった。やっと気付いたか。でもそれを自慢するような態度を見せてはいけない。


「実は自主練習ない日にもこっそり来て練習してるんだよね。先輩に早く追いつきたくて」


ーーそして君がいつか見惚れる自分になりたくてね。


そしてそれに美月は当然のように食いついた。当たり前だ、僕が努力してやったんだ、君が気付くのは当然だ。


自分の事を尊敬すると言った彼女は自分の自主練習に付き合うと言った。


これも織り込み済みだ、計画は順調に進んでいる。



また一つ自分に自信がついた。美月に信頼だけでなく尊敬してもらえる自分になった。

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5度目の失恋【完】 平井芽生 @mei-1002

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