第60話
それから三ヶ月ほど経ったとき、蓮は”仲のいい友人”にまでは昇格していた。
蓮の狙い通り、美月の趣味は他の部員に聞いてそれを調べ尽くしたことで趣味も合う友人になっていた。
そしてある日蓮が見た写真が彼女のSNSから消えた。次の日から美月は部活にあのシルバーのブレスレットをしてこなくなった。
毎日彼女のSNSを見ていた蓮はすぐに気づいた。
きっと高校以前からの関係だった彼氏と美月は別れたのだろう。
そう思うと蓮は満足した。やっと気付いたのか、そうだそれでいい。でもまだ彼氏になるには早い。彼女の周りにはまだまだ多くの男がいる。
好意なんてきっと誰とでも優しく接する美月はいろんな人から持たれている。そしてその気持ちが大きいのは自分だと思っている輩は大勢いる。
それならせめて彼女が一人きりになってから彼氏になるのが一番だ。そうしたら他の男になんて目移りしないんだから。
「彼氏との写真全部消えてたけど別れたの?」ーーさすがにこんなことを訊いてしまったらデリカシーのかけらもない男として認定された上に自分の心の傷をえぐってきたと思われて自分から離れていくだろう。
ならそれをしない僕でいてやろう、聞かずとも彼女が別れたことは分かっているんだからそれでいい。
僕にできることはいつか彼女が一人きりになったときに彼女をその地獄から救い出して自分以外のものを見せないようにすることだ。
それならまずは彼女と接点のある部活から攻めていって彼女との接点を増やしていくのが一番いい。
勉強だっておろそかにしていたら結局は意味のないことだ、彼女にとって一番魅力的な男でいれば彼女はそのうち僕のところに来る。
蓮は部活にも勉強にも力を入れ始めていた。そしてそれに当然のように結果も伴っていった。
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