第59話
それからもしばらく”高校からの彼氏”との関係は続いているようだった。
SNSには日々彼氏とのやりとりが載せられていた。
自分とはまだそんなに長く話したりしない、そのくせ彼氏と言ったら彼女のことを毎日のように五時間も六時間も独り占めしているのか。
連絡だってまだ趣味の話に入ろうとしているようなところだ。そのくせ毎日のように美月と自分の話だけをしているというのか。
そう思うと憎たらしかった。
自分はこんなに美月を必要としているのに彼女と言ったら自分の彼氏のことで頭がいっぱいなのか。
高校か、もしくは中学か、その関係が始まったのはいつからなのかなんて分からない。それにそんなことはどうだっていい。
二人はきっと辛かっただろう受験期を乗り越えて、遠距離恋愛になって尚二人でいることを選んだのだ。
でもきっと二人は遠距離で恋愛することがどれだけ難しく困難なことなのかまだ分かっていない。大学には四年間もいるんだ、それに就職だって同じところにいられるかは分からない。数ヶ月に一度しか会うことすらできない、そして大学生の金銭事情や学部によっては忙しさを考えればそれ以上会うことはきっと叶わない。
どうせその彼氏よりも周りにいる男の方がいいことに気付くときが来る、相手の男だって周りに目移りするときが来る。
そしてそんな不安を抱えながら四年間を過ごし続けることを苦しく思うときがきっとくる。
そして別れてみれば周りに他の男が山のようにいることにもすぐに気付く。
ーー僕がいることに、いつか気付く時が来る。
それならそれで十分だ、気付いたときに僕のそばに来ればいい。今はただ幸せに過ごしていればそれでいい。彼女の本当の幸せを認識するときがいつか来る。
それまで僕は待つだけだ。美月の方から僕に頼り切りになるときがきっとくる。
そう思えば彼女に彼氏がいたことなどどうでもよかった。だっていつか僕のところに来るんだから。
蓮の考え方は独善的になっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます