第3話 神様を憎んだ僕が一番の未熟者だった

全てを失った僕に生きる意味はないのかもしれない。

未来ゆきの列車に乗ったって君には続いてなさそうだ。夢で逢うくらいがちょうどいいのかもしれない。君と息した日々はいつまでも輝いて、錆びることはきっとないんだろう。アンハッピーを掲げて灰色の空の下で迷子だった僕に答えを教えてくれた君に感謝して僕はまた前を向いて歩こうと思えた。

もし叶うならあの日の僕らに未来ゆきの切符を渡しておきたかった。こんなに不器用でも必死に泣きながらでも前に進もうとしたが故に神様こそ未熟だと行き場のない後悔を投げつけた。君の物語に栞を置くには早すぎる。夢だと思ったんだ、君が飛んでいくあの日は白昼夢をみているんだと。あまりにも現実感がなくてさ。あの日から生きる意味を探して気づいたら闇の奥に迷いこんでいた。


自室の天井が霞んで見えて朝を迎えた。

「あぁ、そうか、もうこの世界に君はいないのか。」

また僕はあの笑顔を夢でみた。夢で君に逢えたんだ。

いつまでたっても忘れられない。

あの、ひまわりみたいな笑顔を。

僕はまだ過去に縋ることしかできないのかと、情けない話だとみんな笑うかもしれない。けれどまだ僕は大切に仕舞い込んでいる。

あれから随分と年月を重ねたというのに。

君の死が僕の日常から色を抜いた。

あの時、僕は"好き"という感情を忘れてきたらしい。

もう僕の生きる今に彩りはない。

君のいない世界にはモノクロが広がっている。

 

天国の改札口で待ってて。

いつか、逢いに行くから。

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神様こそ未熟だろう 柚月まお @yuduki_25nico

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