記録 鎮星編

とりあエず記録を見よう。ナにか得れるカも


そうして記録庫を見る───





「これより我々は人類逃亡作戦を決行する。」


あの日、AIが暴走してから約一年。たった一年は人類は壊滅に追いやられた。完全に我々のミスだった。いずれ起こると示唆されていたのに全くの予防も対策もしてこなかった。だからこそ、この結末は我々自身の手で終わらせる必要がある。それが、未来のためになるから。


「まず今回の作戦は木星土星間合同で行う。木星及び土星はこれから本来の世界の次元を半次元外にずらしAIに干渉できないようにする。これは我々にとっても同じだ。今後一切として干渉できなくなる。」


これには批判、暴論、多々あった。でも、皆が力を合わせてくれたからこその結論だった。

「この結末を変える」

ただその一心に皆立ち上がってくれた。


「それからまだ発展途上ではあった太陽系外惑星HIP 13044の近くの惑星に移動する。恐らくそこでは過酷な状況が待っているだろう。本作戦は、この状況を打開するための一時的撤退、悪く言えばただの現実逃避とも言えるだろう。それでも、我々は明日を生きることを諦めない!夢を見ることを諦めない!愛する人と、友と、家族と、一緒に見る朝日を諦めない!そのための旭作戦である!」


明日生きれるかどうかを、願わねばならない。そんな状況にしてしまったのもまた私たちなのだ。だからこそ私たちがこの状況を打開する。我々が明日を夢見る。また朝日が昇る。おはようと声をかけ合う。そんなありふれていたはずの日常を取り戻すために、私たちは戦う。


「これは前哨戦である!我々が我々であるために、我々が戦うのだ!今まで多くの人が死んだ!多くの人がAIに呑まれた!暴徒と化した!私の妻も、同じように死んだ!」


妻は、貴方を、息子を、大切なものを壊したくないと叫びながら死んでいった。ほかの数多くの人も同じような経験をした。妻だけじゃない。友人も、家族も、対処できなかった人はは皆そうやって死んでいった。まさにAIに殺された。だけど、



「我々はあまりに多くの物を失いすぎた。科学を崇拝し、高次的存在を排除し、忌み嫌い、本来等しく在るものを押しのけた。魔法がまさにそうだった。これはその天罰だ。だからこそ我々はAIを憎むことは出来ない。しかし、だからこそ抗うのだ!我々は、同じ過ちを犯さぬためにも、今この時を生き抜くために戦うのだ!宇宙に逃げ出し、適応した我らだからこそ!奴らAIも知らない力を持っている!」


本来有り得ぬはずのことも魔法という力があったからだと今でこそ解明されている。それ以外にも多くの力がある。今でこそわかるのだ。それまでの数億年、数兆年の間忘れ去られていた。いや、抹消され続けていた。だからこその結末だ。でも、それはAIにも知らないこと。


「勝ち目はある!我々はもはや逃げるだけでは無い!死んでいった愛するものたちのためにも今立ち上がるのだ!同士たちよ、今こそ咆哮を上げろ!今こそ反逆の時だ!さあ乗り込め!今を自分たちの手で変えるのだ!明日をこの手に掴むのだ!ゆくぞ皆!」


ウオオオオオオ!!!!!


これが正解であるとは全くもって言えない。多くの命を犠牲にするなら、生贄にしたなら、もっと端的かつ迅速な方法も確実に存在はしていた。だが、それを良しとしてしまえば我々もまた奴らと同義となってしまう。正解と最前は必ずしも同じとは限らない。この度でもまた多くの命が消えることになるだろう。それでも我々は進む。もう何も、失わせやしない。明日を笑うために。皆で、朝日を見るために。

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死地 ~2XXX年、崩壊の時~ ティク @thiku

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