エピローグ 日常の中の小さな勝利
「やっぱり、いつもの日常が一番だな…」
桜は学校の教室で、のんびりと窓の外を眺めていた。異次元の裂け目が閉じられてからしばらく経ち、モグとの騒がしい生活は続いているが、どこか平和な日々が戻ってきたように感じていた。
モグもすっかりこの世界に馴染んで、以前ほどトラブルを起こすことはなくなった。桜のカバンからお弁当をつまみ食いすることは相変わらずだが、それも桜にとっては「いつものこと」として受け入れられるようになっていた。
「モグ、今日はおとなしくしてるみたいだね」
桜が机の下を覗くと、モグはちょこんと座って桜を見上げた。彼は嬉しそうに小さくピョンと跳ね、桜の足元でくるくると回っている。異次元の力が完全に収まったことで、彼も以前よりは落ち着いた様子だ。
放課後、桜はモグと一緒に学校の裏庭を歩いた。あの異次元の裂け目があった場所は、今はただの普通の草むらになっている。あれだけ大きな出来事があったのに、今は何もなかったかのように静かだ。
「本当にいろいろあったけど、これで全部解決したんだね…」
桜は感慨深げにその場所を見つめながら、モグに話しかけた。モグは元気に跳ね回りながら、まるで「そうだよ」と言わんばかりに頷いている。
「でも、また何か起こるんじゃないかって思うんだよね。君と一緒だと、次のトラブルもきっと乗り越えられる気がする」
桜は微笑んで、モグの頭を撫でた。彼との日々は予想外のことばかりだったけれど、それでも彼女は充実した毎日を過ごしていた。何が起こっても、モグと一緒なら大丈夫だと思えるようになっていたのだ。
「さあ、明日もまた頑張ろう!」
桜は元気よくそう言い、モグと一緒に家へと帰っていった。新たな冒険がいつ始まるかはわからないけれど、日常の中で得られる小さな勝利を大切にしていく桜の姿が、そこにはあった。
そして、夕暮れに包まれた学校の裏庭には、もう二度と異次元の裂け目は現れないだろう――しかし、桜とモグの物語は、これからも続いていく。
桜とモグシリーズ(2)ー異次元パニック!増えすぎ注意!ー @anichi-impact
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