第6話 別れと新たな始まり
「モグ…もう少しで全部終わるんだね」
桜は静かにモグを見つめながらつぶやいた。異次元の裂け目を閉じるために、これまでずっと奔走してきたが、ようやくその時が来ようとしていた。裂け目はほとんど閉じられ、残るは最後のわずかなエネルギーを封じるだけだった。
「これで、君も元の世界に戻るんだね…」
桜の声は少し寂しそうだった。モグとの日々は騒がしく、ドタバタの連続だったけれど、どこかその毎日が楽しくもあった。異次元から来たモグとの生活が、桜の日常の一部になっていたからだ。
モグは桜をじっと見つめ、小さく頷く。彼もまた、桜と一緒に過ごす時間を楽しんでいた。だが、異次元のトラブルを解決するためには、もう一度自分の世界に戻る必要があるのだ。
「さあ、行こう…」
桜はモグの手を取り、最後の裂け目に向かって歩き出した。学校の裏庭に残された光の裂け目は、今や小さく揺らめく炎のように微かに残っているだけだ。モグはその裂け目に向かい、ゆっくりと手をかざした。
瞬間、強い光が辺りを包み込み、裂け目は完全に閉じられた。静寂が戻り、異次元への扉は完全に消え去った。
「これで…本当に終わったんだね」
桜は一瞬、何も言えずにその場に立ち尽くしていたが、やがてモグの姿を見て笑顔を浮かべた。モグもまた笑顔で桜を見つめ返していた。彼の力によって異次元のトラブルは収まり、平和な日常が戻ってきたのだ。
「ねぇ、モグ。もう元の世界に帰るんだよね?」
桜は少し不安そうに尋ねた。彼がこの世界にいられる時間は限られているかもしれない。しかし、モグは桜の手を優しく握り、静かに首を振った。
「えっ?帰らないの…?」
桜は驚きの表情を見せた。モグは裂け目を閉じたことで、異次元に帰る道を閉ざしたにもかかわらず、この世界に留まることを選んだのだ。モグにとって、桜との時間がそれだけ大切だったということだ。
「それじゃ、これからも一緒にいられるんだね!」
桜は嬉しそうに笑い、モグを抱きしめた。異次元のトラブルが解決し、モグがこの世界に残ることを選んだことで、桜の日常は再び賑やかで騒がしいものとなるだろう。
「じゃあ、また新しい冒険が始まるんだね!」
こうして、桜とモグの新たな日常が再び動き出すことになった。異次元とのトラブルは終わったものの、これからも何かしらの騒動が起こることは間違いない。けれど、桜にはもう不安はなかった。モグと一緒なら、どんな困難も乗り越えられるはずだ。
「さあ、帰ろう。明日もきっと楽しい一日になるよ!」
桜とモグは笑顔で手を繋ぎ、学校の裏庭を後にした。これからの新たな冒険に期待しながら――。
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