第5話 異次元への扉を閉じる鍵
「モグ、お願いだから起きてよ…」
桜は、ぐったりとしているモグを抱きかかえながら、必死に呼びかけていた。異次元の裂け目が再び開かれ、モグたちがその影響を受け始めたことが、日を追うごとに明らかになってきた。彼らがこの世界で無事に過ごすためには、異次元のトラブルを解決し、裂け目を閉じる必要があるのだ。
「一体どうすればいいの?」
桜は学校の裏庭に戻り、再び異次元の裂け目を見つめた。光が微かに揺らめいているその場所は、まるで桜に何かを訴えかけているように感じられる。しかし、どうやってこの裂け目を閉じればいいのか、その方法はまだわかっていなかった。
「モグ…何か知ってる?」
桜がそっとモグに問いかけると、彼は力なく目を開け、小さく頷いた。どうやらモグには、この裂け目を閉じるための「鍵」があるらしい。桜はそれを感じ取ったが、モグがそれを伝えるにはエネルギーが足りないようだった。
「そうだ、異次元のエネルギーを集めれば、モグも元気になるかもしれない…!」
桜はそう考え、再び異次元の裂け目の周りを探り始めた。少しずつ散らばっている異次元の破片を集め、モグに差し出す。すると、彼は弱々しくその破片を食べ始め、少しだけ元気を取り戻していった。
「よかった、少しずつ元気になってる…でも、もっと集めないと…」
桜は他の場所にも異次元の破片が落ちていないかを探し続けた。そして、学校中を駆け巡りながら、次々に破片を見つけてはモグに与える。時間との戦いだった。裂け目が広がる前に、モグを完全に回復させなければならない。
「これで…どう?」
モグは全ての破片を食べ終えたあと、ゆっくりと立ち上がり、かつてのような元気な姿を取り戻した。そして、桜に向かって力強く頷いた。
「よし、裂け目を閉じよう!」
モグは桜の手を取り、二人で裂け目に向かって進んでいった。モグの力を使い、再び裂け目に手をかざす。すると、裂け目は少しずつ縮み始めた。光が収束し、異次元への入口が徐々に消え去っていく。
「これで…終わり…?」
桜は息をつきながらモグを見た。彼は満足そうに笑っている。しかし、裂け目が完全に閉じる直前、モグは何かを感じ取ったように立ち止まり、じっとその場所を見つめている。
「何か…まだ残ってるの?」
桜が不思議そうに問いかけると、モグは一瞬、迷うような表情を見せたが、やがて小さく頷いた。どうやら、裂け目が閉じられても、異次元の問題が全て解決したわけではないらしい。
「でも、ひとまず大丈夫だよね?裂け目はもう広がらない…はずだし。」
桜はそう言って、モグの頭を撫でた。異次元への扉を閉じるための「鍵」は確かにモグの力だったが、その背後にはまだ解決すべき謎が残されているようだ。
「また、いつか異次元の問題に向き合うときが来るのかな…」
桜はそうつぶやきながらも、モグと一緒に穏やかな時間を過ごせる日々を取り戻したことにほっとしていた。騒がしい日常が戻ってきたけれど、これから何が起こるのか、まだ誰にもわからない。
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