むかしばなし

ゆ〜 @WGS所属

オハナシ

「ねえねえお兄ちゃん!!またあの話聞きたーい!」

「またか?ほんとに好きだなぁ。」

「だって沢山の人を救ったヒーロー、かっこいいもん!いいでしょー??」

「しゃーないっ。静かにしろよ〜」

「うん!」

「昔々のその昔――」



昔々のその昔、学校という場所では多くの人が生活をしていました。

しかし、人付き合いというものはとっても大変で、『イジメ』ということが起こることがあります。

とある学校にはイジメられている女の子がいました。

その子は特に悪い点がある子ではありませんでしたが、自分の意志をあまり主張できない子でした。


彼女が「死んでしまいたい。」と呟いた日。

彼女にはリーパーというお友達ができました。

彼は学校で彼女の話を聞き、一緒に話し、友達の少ない彼女にとってヒーローのような存在でした。いや、救済者それ以上だったかもしれません。

イジメが酷くなったのはそれからでした。


「こんだけ無視しても学校来るとか怖すぎんww」

「誰と会話してんの……?」

「あいつ、最近独り言多いよな」

「空想の友達でも作ったんじゃない」

「ウケるww」


もう誰も彼女の話を聞いてくれなくなりました。

たった1人。リーパーを除いて。



ある日、リーパーは彼女の話を聞きに来ませんでした。

別の仕事があったのです。

その日彼女は1人ぼっちでした。

ずーっと、ずっと。

ふとテレビを付けると、


「今日◯時ごろ、✕✕県で少年が死亡しました。少年は『僕の魂は彼に救われるんだ。』という内容を遺書に書いており、『彼』とは誰なのか自殺、他殺の両方の可能性を視野に捜査を進めて――」


アナウンサーの流暢な声で、直ぐにそのニュースは終わりました。



次の日、リーパーが話を聞きにやって来ると、彼女は酷く怒りました。


「ねえ、なんで来なかったの?あなたがいないと私は1人なんだよ。」

「……君はさ、辛いの?」

「辛い、のかもしれない。どこかで救われたいと思っているのかもしれない。」

「……」

「でも、あなたとはまだ話していたいよ。こんな酷い日々を忘れられる。」

「僕は君を救いたいな。」


彼女は驚きました。自分より2つ3つ上としか変わらないであろう少年が自分を救ってくれるというのだから、当然です。


「……なら、私のことを救って?」

「いいよ。」


翌日。

彼女はリーパーによって救われました。

彼は本当にヒーローでした。彼女を辛い人生世界から救ったのです。


彼は今もこの世界の何処かで誰かを救っています。

そして、僕らの目標としてもヒーローとして語り継がれ――



「――ます。ふぅ。」

「お兄ちゃんありがとー!!」

「この話めっちゃ長いんだぞ〜、感謝しろ〜」

「はーい」

「思ってないだろw」

「うんw」

「やっぱ?」

「でも、私もリーパーみたいな死神になりたい!っておもったよ?」

こころざしが高いのは良いんだけどなぁ、兄ちゃんも結構救ってんだぞ?ちょっとくらいは尊敬してくれよ……」

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