#写真と暮らす家

STORY TELLER 月巳(〜202

#写真と暮らす家

#写真と暮らす家


【storyteller by Tukimi©︎】


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彼女は暮らしている。

沢山の家族がいて、待っているからと。


花屋で花を買い、丘の上の大きな一軒家。




あ。


彼女はテレビが好きではないが何時もつけている。


「あらいらっしゃい」

家政婦として通うこの家の主、シメヨさん。


テレビを見ると最近見た顔の写真。

アナウンサーがマイクで話す中身より、その顔の人は確か。


——塚道杏さん二十五歳が倒れているのを発見した近所の住民が通報したとの事で……


シメヨさんと最近話していた人、だったが。

主人の顔はテレビ画面に向けられて。

また、知り合いが亡くなったことをこの子は教えてくれるのねと悲しい顔で言う。


そして。


「浪江さん。あなたはまた、来てくれるわよね」


またきますと辞した洋館。

カーテンに映る主人の見送る影。

そして、彼女自身の不思議な言葉。


嫌だけど知らせが入るから、テレビを見るしか無いのよね、とは。


気にするとなんとも言えない不安が寒くも無いのに首を冷やして、怖い。

そう、足早に帰ろうと浪江は足を進めながらやはり、この仕事を辞めてしまおうと電話をする。


はい、そう、辞めたいです。

と言う電話の向こうの社長が引き止めるのを適当に切り。

そして。


改めて帰り道。

あら、と、聞き慣れた声を最後に聞いたはず、だったけど。息が。

出来ない。


⭐️  ⭐️   ⭐️



浪江さんは、残念だけど私も困るからと言うが家政婦紹介所の末子さんはしぶる。


だけど高齢ですもの私は、お金だって支払いますし、良いお客様としてしてますからと繰り返し次の人を紹介してとお願いをする。

出す金額をあげるからと。


ふと、前思いついた時、末子さんが来てくれる?って言うと一瞬固まって次の人を探しますと言ったからまたそう言ってみると。


お時間いただきますと言うのでよろしくお願いしますと切る。




あら、チャイム、と誰かを呼ぼうとして居ないを思い出して自ら戸を開けに向かう。



室内の、写真はみな、生気なく。

とは言えおはようと一つ一つ丁寧に声を掛けるのが彼女の日課。


話しかけて花を飾り、許してあげると言う口癖に、何人目かの使用人の子が気持ち悪いと言うのには思わず手を出してしまったけど。


居なくなっても、帰ってくる、彼も彼女も子も知り合いも。


物言わぬ写真になって。



「ハイおはよう御座います、どなたですの」


あら朝から物騒ねと思う。


「警察です。最近亡くなられた浪江ハルさんについて話を伺いたく署までご同行頂けますか」


「ここじゃダメなの?」

「署までお願いします」


行きたくないだけど、何やら紙を見せる警察官は紙の文面読み上げて、渋る手に手錠をかけた。


驚きのままに惹かれて乗り込んだパトカーの背後で沢山の警察官がどんどん我が家に土足で入り、中にある写真を持ち出そうとしたのが見えた。


「やめて取らないでみんな私の家族よ、次々イヤ、嫌あーー」


⭐️   ⭐️  ⭐️



一度関われば最期まで、もし仮に離れてしまうなら?それでも、一生一緒よ?



近所の人はいつしか噂する、あそこは口が災いしたら出られない家なんだと。


だけど。何処を調べても

全ては不運。


今度こそと言う警察も。

関わり続けて命長らえながらも怖がる家政婦派遣の社長も、

毎日会う花屋の主人も、新聞配達員も。


皆、この輪廻から離れたいのに。

なぜか。

口にすると叶えてしまう、女の何処にも死をもたらした証拠など無いのだった。



-お仕舞い-

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