ニセ世界大戦

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 空襲警報が鳴った。ウーンとうなっている。プ――――と機械が絶叫を始めた。やばい、近づいている。俺は布団から飛び跳ねて走り出した。ミニカーの群れと、輪ゴムと段ボールで組み立てられた「爆弾投下機」を見に行こう。

 玄関のドアが開いた。――みんな驚くぞ。


 そら、友達が驚いた……え!? お前、それ、今持ってんの、本物の――焼夷弾か!?

 

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 やめてくれやめてくれ、くわばらくわばら。仕方なく俺はモノ好きな友達のアルコールランプの実験に参加させられているところで、祈りは天にも通じない。スマホみたいに圏外なのなら理科室から飛び出そうか?


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 完成したらしい、友達の焼夷弾が。まずい、俺も急いで作んないと,追い抜かれっぞ。


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 発表の場所:俺の家 発表の日:明日 そんな今日。爆弾の完成度:0%。やめてくれやめてくれ、図書館の中で必死に資料にかじりつく。そんな6年の姿、見たくないだろ?


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「ええい、こうなったらいかさまだ!」俺は段ボールを上にあげると反動で輪ゴムがプチっと切れ、天井につながれていた紙コップが落下する仕掛けを組み立て始めた。


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 私ら夫婦は共働きだ。2人とも別の場所に出張。出張先のホテルで、私は驚きのニュースを目撃する。

「A市の住宅で火災が発生し、住宅3棟が焼けました。児童3人が死傷。1人は堀拓栄くん。搬送先の病院で死亡が確認されました――」

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SFのショートショート集 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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