第4話
父の鉄平が言っていた言葉は、「うちらの仕事は、素晴らしい原料があってこそ」、「各地の生産者の方々に足を向けてはいけん」、「輸送してくださる方々にも感謝の気持ちを忘れてはいけん」、「自分ができんことをやって頂いとるのじゃけぇ謙虚に頭を下げ感謝の念を忘れんこと」だった。
「
当然、他にも様々な菓子の材料を扱っているので、畑や農家さんに直接、通うこともあるし、農家さんと直接交渉することもある。生産者を大切にするという哲学は息子の
「背伸びはするな、地に足つけろ」が代々守られてきた教訓だ。なにげない会話からも、お互いへの信頼とリスペクトが感じられた。
和菓子や洋菓子の世界では驚くようなブームで大ヒット商品が生まれたり、注文が倍々ゲームで増えていったりする流れが時として起こる。
「じゃけぇ、うちが
祖父の桔平、父の鉄平、そして孫の心平の三代はとても仲が良かった。だからこそ、代々が先代の意思を次いで、日々地道に邁進できるのだ。
毎朝、三時に起きて、先々代から繋いできた“
時代は超速のスピードで変化していっている中で、昔ながらの味を守っていくことも大切かもしれないが、それよりも新たな道を模索することも重要ではないかと思うようになっていた。
一番の理由として、朝、三時に起きて臼に蒸し上がった餅米を杵でつくとペッタンペッタンと地響きを伴う事から近所からクレームが来ていたことが悩みの種だった。だからこそ、餅を使わないでもできる一品勝負に出たかったのだ。そしてすべての和菓子を手作りで作っては毎日捨てている自分が悲しかった。それであるなら材料もシンプルな一品勝負がしたかった心平だった。
次の更新予定
続く三代の手仕事に込めた饅頭の味 @k-shirakawa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。続く三代の手仕事に込めた饅頭の味の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます