第13話 Twisted Justice
☆
私は...そのお兄ちゃんの姿を見ながら考える。
悩んでいるのにこれ以上悩ませてはならないだろうな。
思い私は家事をした。
すると横にお兄ちゃんがやって来る。
そして家事を手伝ってくれた。
「なあ。星空」
「...うん。何?お兄ちゃん」
「...お前は...どう思う」
「何が?」
「今の状況...とか」
「...私はさっきも言った通り決して許さないしね」
「...そうか」
そして私は怒る。
それから眉を顰める。
そうして沈黙するとお兄ちゃんのスマホに電話がかかってきた。
お兄ちゃんは眉を顰めながら出る。
「...もしもし。楓か」
「うん。楓だよ。分かったんだね。遂に」
「お前は天使か悪魔か。どっちなんだ」
「...どっちでも無い存在だね。...私はね。天使でもあるし悪魔でもある」
「...ふざけている場合じゃないぞ。...お前の存在価値の問題だ」
「そうだね。でもね。晴人くん。私、本当にどっちでも無いんだ。だって私がふざけすぎているのは事実だし」
「...」
私も聞き耳を立てて聞く。
すると楓さんはこう話した。
「私はどっちでもない。そして私は悪魔になれる」
「...悪魔になれるってのは」
「私は...花奏を守る為なら何でもするつもりだから。悪魔でもなれるよ」
「...」
「朧さんを洗脳したのは事実だけど。...まあそれ以上に朧さんが最悪だったってのは事実かな」
「...それ以上にって事か」
「そうだね」
それから楓さんは苦笑する様に黙る。
その間にお兄ちゃんが無口になっている口を開いた。
そして問いかける。
「...お前は護身の為にやったのか。...それをすると身をほろ...」
「知ってる。だけど私はあくまでこれをやらなければならなかった。何故なら私には花奏が居るから」
「...しかし...」
「晴人くん。君は知っていると思うけど。この世界の全てはクソッタレだと思う。だからこそ犠牲にならない正義はない」
「...」
私はその言葉を受けながら写真を見る。
その写真はお兄ちゃんに話してない...虐待の話もある。
忌まわしい記憶だが。
これを思い出してイラつく為に敢えて貼っている写真。
「...分かった。...お前の言い分は。...だけど花奏ちゃんの事を大切にするのは素晴らしいとは思う。だけどこうしてお前と...仲が切れてしまう可能性だってあった。お前は良かったのかこれで」
「言ったでしょ。私は。犠牲にならない正義は無いって」
「...」
「私は知っていた。君との仲がいざこざにいつかなるって。だけど今とは思わなかっただけで」
「...お前な...」
「晴人くん。...私は貴方が好きだよ。だけどね。...その前にやらないといけない課題が幾つかあるんだ。...まだ迷惑をかけると思うけど」
「...」
無言になる。
それから時計の針だけがこの室内に響く。
数秒してからお兄ちゃんは顔を上げた。
そしてお兄ちゃんは息を吸い込んで吐く。
「もうこんな真似は止めてくれ。お前の護身の為にお前が犠牲になるのは」
「...何故?結局私しか被害が」
「お前は気が付いてない。お前は...お前の被害は俺にも及んでいる。気が付いてない」
「...そうかな。そうは思わないけど」
「いや。俺が思う。...お前は...最低な真似をしている部分もある。...朧もクソだがお前も...若干はクソだぞ」
「...そう言われるのも仕方がないね。贖っていくよ」
「だからもう止めろ。そういうの。俺も背負うよ」
「アハハ。...そう言ってくれるのは...有難いけど。実はね。花奏はまたイジメられているみたいなんだ。転校した学校でね」
「...は?...は?!」
そしてお兄ちゃんはゾッとする感じを見せる。
私はその事を敢えて言わなかったんだが。
その事にお兄ちゃんは強い怒りを浮かべた。
それからワナワナと震える。
「...どういう事だ」
「この前分かった事なの。と同時にもう一つ分かったんだけどそっちの方に問題があってね。...実は私の花奏をずっと庇っている人が居たんだ。その子は...」
「...お前...まさか」
「実は花奏を庇っている人は星空ちゃんでね。...彼女は見えない暴力を受けている様なの」
「...一体...どういう事だ。星空」
青ざめながらゆっくり私に向いてくる。
バレちゃった...。
こんな形でバレるなんて思ってなかった。
だけど丁度良いタイミングなのかもね。
「...お兄ちゃん」
「いや。どうなって。...大丈夫なのか?お前」
「...まあ水を被ったりしているだけだから」
「...最近、学校から帰るのが早いって話はマジなのか」
「...」
すると楓さんがこう話した。
お兄ちゃんに対してお願いをする。
「変わってくれる?晴人くん」
「...ああ」
「...もしもし。星空ちゃん」
「もー。話したらダメですよ。アハハ」
「...貴方は隠しているつもりだろうけど。...貴方は...クラスメイトだけじゃなくて教員からもイジメられているよね」
「...」
「女性という存在を否定されたりとか」
「...そうですね」
お兄ちゃんは唖然としながら私を見る。
私はその姿をチラ見してから電話に戻った。
そして楓さんに話す。
「何でそれを知ったんですか?」
「...知ったのはこの前。1週間前から始まっていたそうだね」
「...はい」
「警察に訴えたよ。私。...多分そのうち、第三者委員会、教育委員会が出ると思う」
「...」
「何でそんな隠す様な事をしたの?」
「...今は忙しいだろうって思って」
「...それは良くないよ。...彼女。つまり花奏も知らなかったって相当傷ついてたよ。何でそんなになる様に仕向けたの?」
「だって迷惑がかかり...」
するとお兄ちゃんが詰め寄って来た。
それから私を見てくる。
私はオドオドしながらその姿を見る。
お兄ちゃんは私に手を振り上げる。
「...!」
そしてビンタをお兄ちゃんがお兄ちゃん自身にした。
思いっきりのビンタで出血し始める。
私は驚きながらその姿を見た。
「...え?お、お兄ちゃん?」
「何も知らなかったよ。...俺は」
「...お兄ちゃ...ん」
「...楓。有難う」
「...私は知った情報を伝えただけだから」
私を見てくるお兄ちゃん。
それから抱き締める。
強く。
「何でそんな真似をした」
そう呟きながら、だ。
私はその言葉に何も言えなくなり口を閉ざした。
それから嗚咽を漏らす様な感じの声を発した。
悲しいというよりかは...何か。
何というか何とも言えない様な感情に包まれた。
彼女が寝取られました。だがそれは1つの絶望の始まりに過ぎなかった。 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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