第12話 revival
誰を信じて歩み出せば良いか。
分からなくなった。
そう考えながら俺は不良と朧との邂逅を経てからそのまま帰宅する。
それから頭を抱えてから悩んでいると奥から声がした。
「お兄ちゃん。大丈夫?」
「よく分からん。大丈夫か大丈夫じゃ無いのか...でも俺は...本当のクソと付き合っていたんだなって」
「...だね」
「俺は騙されてたな。...クソめ」
そう呟きながら俺は再び沈黙する。
それからその様な感じで居ると星空が抱きしめてきた。
そしてゆっくり頭を撫でてくる。
俺は驚きながらもその事に反応出来ずに暫くじっとしていると。
星空が切り出した。
「ねえ。お兄ちゃん。復讐しようか」
「復讐って何だ...奴にするのか。朧に」
「朧の為だよ。全てはね。今直ぐに復讐するべきだと思う。...だから私も協力するよ。これだけ馬鹿にされて悔しくないの」
「悔しいけど...それで手を出した何だかこっちの負けの様な気がする」
「お兄ちゃん。そんな甘っちょろい事を言っている場合でも無いでしょう。今は。...絶対に私はやるよ。お兄ちゃんがやらなくても。楓さんの分もある」
「...」
「私はこれだけ馬鹿にされて沈黙する方がありえない」
「そうだな。...確かにそうかもしれない」
「SNSに暴露しても良いけど。甘いな。...さてどう料理してやろうか」
そんな事を嬉しそうに言いながら星空は手をバキバキと鳴らす。
俺はその姿を見ながら目線を横に向ける。
それから俺は自室に飾られている星空との写真を見る。
そして次に楓との写真を見る。
悪い方を信じてしまった俺は愚かだ。
「...そうだな」
「?」
「...俺、復讐する。...朧に。そんな気は無かったけど。...だけどこのままやられっぱなしも気に入らない」
「そうそう。お兄ちゃん流石だよ。それでこそお兄ちゃん」
「...お前はやるとするならどういう復讐を?」
「殴るっていうのは冗談だけど。...私は彼女を高校退学に追い込もうかって思って。...今はね」
「...成程な」
「うん。それが第一段階かな」
「...そうだな」
そして俺は立ち上がる。
それから星空の頭を撫でる。
すると何を思ったか星空も立ち上がって俺にキスをした。
俺は驚愕しながら星空を見る。
「えへへ。アイラブユー」
「...お前な...」
「まあまあ。良いじゃん」
「...まあな」
それから俺は考え込む。
そして俺は星空を見てみる。
星空は?を浮かべて俺を見ていた。
「頼りになる妹になったよな。お前」
「...頼りになるかどうかは分からないけど。...だけどそうだね。...取り敢えず変わったとは言えるかな」
「本当に感謝だよ。お前には」
「...えへへ。そう言ってもらえるなんて嬉しいな」
「お前のお陰で決心がついたしな」
「...え?」
「お前のお陰で決心がついた。...つまり復讐の決心がな」
「そっか」
そして俺は沈黙する。
それからまた顔を上げてからゴミ箱に引きちぎった朧との写真をぶち込む。
そうしてからイライラを抑えた。
クソ。
本当にクソだな。
「お兄ちゃん」
「?」
「もしこれが終わったら。お返事を下さい」
「...ああ。その時には気持ちが固まっているだろうしな。今はまだ何も考えられないけど」
「うん。期待して待ってる」
それから俺は朧の手を握ってから離した。
そして俺はリビングに行く。
クソッタレな今この時。
すべきは...趣味かな。
そう思いながら俺はノートパソコンを広げる。
「あ。小説書くの?久々だね」
「...今の状況を認めた感じにしようかって思ってな」
「本当に久々だね。1年ぶり?」
「...埃被っていたしな。このパソコン」
「そうだよね」
俺は眼鏡をかける。
特に意味はないけどこの眼鏡は画面の眩しさを半減する。
ブルーライトカットだ。
だからかけた。
「...花奏ちゃんとは上手くいきそうか」
「うん。...きっと上手くいく。楓さんとの仲でいざこざになってしまったけど」
「そうだな。...無理はせずにゆっくり補正していったら良い」
「...疑ってしまったね」
「仕方が無いだろ。...どう考えても。全ては朧の罠だったから」
「...そうだね」
「...本当にどうしようもなかったと思う。今回はな」
「お兄ちゃんは変わらずだね」
そして俺の横に紅茶を置く星空。
俺はその星空に笑みを浮かべてからお礼を言う。
すると星空は俺の横にやって来る。
それから俺を見てきた。
「...お兄ちゃんの原点はやっぱりおじさんなの?」
「...そうだな。...お前は...2度目の結婚だったよな?」
すると星空は一瞬だけ真顔の冷めた顔をした。
それからニコッとする。
地雷でも踏み抜いた様な感覚だ。
俺はそう思いながら星空を見てみる。
星空はこれまでに一度も語ってないが。
2度結婚している。
その為に2度目の親父さんが居る。
筈だが。
彼女は何も話さない。
そして俺にその事を話す素振りも見せない。
俺はその事に、やはり喋らないか、と思い話題を切り替えた。
今の俺達の苗字は実は話し合いで決まったのだが。
それも親が協議して決まっている。
その中で...唯一、苗字を提案した人が居る。
それはもう分かると思うが夕凪星空だったのだ。
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