第11話 Reversal
☆
私は何も出来ずその場に立っていた。
それから私はお兄ちゃんを見る。
あの後、朧を帰らせた。
そして私はお兄ちゃんと一緒に予定を変更してから楓さんの家に向かう事にした。
「...楓さん...元に戻れば良いけどね」
「戻らないとは思う。だけど多少の説得は効果あるかと思って来た」
「お兄ちゃんはそういう所が優しいよね」
「これは優しさじゃない。ケジメだ」
「...うん」
そしてインターフォンを鳴らす。
するとドアが開いた。
それからそこに?を浮かべた花奏が出て来る。
「あれ?その...どうしたの」
「うん。用事があってね」
「そうなんだ。...じゃ、じゃあお姉ちゃん呼んでくるね」
「そうだね。頼める?」
それから花奏はお姉ちゃん。
つまり楓さんを呼びに行った。
そして楓さんが出て来る。
私達に笑顔になる。
「うん。何をしに来たの?」
「お前がやった事。俺は絶対に許せない。だから最後に言っておく」
「...うん」
「俺はお前とは縁を切るが。お前は変わる気はないのか」
「...変わるっていうか。私は何も」
「何かしているからこうなっている。...俺はお前を許さない」
「...」
私達を見ながら沈黙する楓さん。
それから私は楓さんを見ていると楓さんは顔を上げた。
同じ言葉を繰り返すかと思った。
しかし何故か...複雑そうな顔をしていた。
「...こうするしか無かった」
「...は?」
「私ね。...あくまで花奏を護りたいのもあってね。護身の為にこうなったって言えるのかもね」
「...そうか」
「うん」
そして楓さんは言葉を区切ってから私達をまた見てくる。
それから空を見上げる。
そうしてから息を吸い込んでから吐いた。
「まあ何にせよ。私は...貴方を狙うのは止めない。幸せになりたい」
「お前のやっている事は間違っているぞ」
「...間違ってないよ。...私はあくまでまともだから」
「...お前...」
「私はあくまで君が好きだから。警察だろうが何だろうが死ぬまで止めない」
「...」
私はその言葉に黙っていると楓さんが私を見てきた。
それから笑みを浮かべる。
「それに星空さんは彼が好きなんでしょ?ますます負けてられないから」
「好きとかそういう問題じゃない。お前のやっている事はストーカーだ」
「私はそうは思わない」
「...犯罪だぞ」
「犯罪じゃないよ。ただ関係性を邪魔しただけだから」
「...」
お兄ちゃんは踵を返す。
それからそのまま楓さんを見る。
楓さんはニコニコしながらお兄ちゃんを見ていた。
「...お前は化け物だな」
「晴人くん。一つ言うけど。...あの女の子は信頼出来ないよ」
「...それはお前に決めれないだろう」
「いや。...彼女の噂は知っているから。...股が幾つにも分かれているって」
「...それは無いだろう。今のお前から聞いても信頼出来ない」
「そのうち思い知るよ。君も」
私は静かに楓さんを見る。
そして状況を理解出来てない感じの見ている花奏に笑みを浮かべて挨拶をしてからそのまま私達はその場を去った。
それから帰宅した。
☆
その帰宅途中の事だが。
いきなり絡まれた。
それは大学生と思われる2人。
私は?を浮かべながらその2人の金髪を見る。
「オイ。ぶつかって来たろ。慰謝料を寄越せ」
「嘘吐くな。お前らがぶつかって来たろ」
「言うね。お前。人の女とっておいてよ。そっちの慰謝料も寄越せ」
「...は?」
何の話だ、と。
そう言いながらお兄ちゃんは眉を顰める。
すると大学生の1人がお兄ちゃんの胸ぐらを掴んだ。
それから笑みを浮かべる。
「お前さ。調子に乗んな。良い加減にしろよ」
「いや。つーか何だよそれ」
「とぼけるな。お前が彼女。...皆富朧を寝とったって話だろ」
「...何...」
まさかの言葉に私は凍りつく。
それからお兄ちゃんを見る。
お兄ちゃんは愕然としながら言葉を発した。
「お前らも寝取られたのか」
「...は?どういう意味だよ」
「...俺の元カノだよ。ソイツ」
「じゃあ何か。今付き合ってないと?」
「股が幾つにも分かれているんじゃないかって話をしていたんだよ。丁度な」
「...な。じゃあ俺は...まさか」
形勢が逆転した。
大学生達は困惑しながらお兄ちゃんを見る。
真剣な顔をした。
それから言う。
「それはマジか」
「マジだと思う。今ままでのお前らの話で確証を得た」
「...マジかよ。俺騙されたのか?あの女に」
「俺もか」
「...」
信じられない。
まさか正しいのは楓さんだったのか?
そう思いながら私は考え込む。
だけど今までの行動は...。
「...演技だった?それともただの変態?」
「...」
私達も4人で困惑する。
すると私達の背後から声がした。
「あーあ。バレちゃった」
「...お前。皆富!!!!!どういう事だ!」
「私の体当たりの演技がまさかこんな形でバレるなんてね」
「朧。お前...今までの事が...嘘だろ」
「色々と演技だよ。...だけどまあ半分は自分の快楽の為だった」
「ふざけるな!?」
「ふざけてないよ。...私は快楽を求めているだけだし」
何なんだこの女。
そう思いながらさっきと違う姿にゾッとする。
それから見ていると大学生の1人が怒った。
「あのな!どんだけ股を分かれているんだよテメェ!!!!!」
「私はあくまで快楽を求めている。だからそれだけ」
「殺す!!!!!」
そして男の1人が走り出した。
するとその巨体が勢い良く宙を舞う。
一瞬だった。
地面にねじ伏せられる。
「グァ!」
「...汚らわしい。用済みの男はゴメンです」
「朧...」
「何。晴人」
「...お前...もう呆れたよ。そんな女と一緒だったのか俺は。結局...悪かったのはお前だったのか」
そう呟きながら項垂れる。
私はその姿を見てから朧を見る。
いや。
皆富を見た。
「...お兄ちゃんの清楚な部分を馬鹿にするな。何だお前は」
「私には夢があってね。何人とセックス出来るか試しているの」
「...何でこんな演技をしたの」
「気まぐれかな。アハハ」
まさかこんな展開になるとは思わなかった。
そう思いながら私は沈黙する。
それから私と残った男達は暫く彼女を見ていた。
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