体育祭

内容にも書いてありますがわかりやすく書いておきます。

色は赤、青、黄、緑です。りんと真は赤色です。

学年は三学年まででクラスは四組までです。


…なぜか本編よりも力が入ってしまった。

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「あ、そういえばそろそろ体育祭だねぇ。」

「りんはいいよね。運動できるから心配なくて。」

「あれっ?真ちゃんって運動苦手だったっけ。」

「徒競走ほぼ最下位だけど…?」

「あー…いやでもさ、私部活でバドミントンやってるだけだよ。あとは小学生の頃にミニバスと水泳してたけど。」

「ちゃんとスポーツしてるじゃん。私全部できないけど。」

「まぁまぁ…誰しもできないことはあるよっ!」

「リレーとかめっちゃやりたくないなぁ。」

「私選抜リレー選ばれてたよ。辞退しよっかな。」

「え、どうせならりんのかっこいいとこ見たいなぁ。」

「よし、やるわ。」

「即答かよ。」

りんは走る系の競技大半に出ることになって、私は足が遅くても比較的なんとかなる借り物競争や綱引きなどに参加することになった。


体育祭当日

「まこー!頑張れぇー!!」

校庭中に響き渡る声で応援されてすごく恥ずかしい。

とりあえず借り物競争に出場した私はお題の紙まで全力で走った。

「えーとお題はっと。…クラスカラーの靴?」

私達のクラスカラーは赤で組分けと一緒だが観客席を見渡してみるが目立つ色はいない。

そもそも話しかけられるのは同じクラスの人までだ。こんなところでもコミュ力が必要だなんて聞いていない。

「まこー!早くしろー!」

りんの声を聞いて振り向くと靴に赤っぽいものが見えてとりあえず走り出す。

「(これであってなかったら…)」

りんの目の前に紙を突きつける。

「…クラスカラーの靴?って私かっ!んじゃ行くぞっ。」

学年一速いりんに手を引かれ、おいていかれそうになる。

「ちょ…っと早すぎ、ってば。」

「んー頑張って?」

こいつ後で覚えてろよ?

結局探すのに手間取ってしまったから六人中三位だった。


「はぁー疲れた。りんのせいだからね。」

「いやーテンションあがちゃってさぁ。一位取ってくるから許して?」

「取れなかったらなにしてくれるの。」

「んーもう嫌がるくらいかまってあげる。」

「ならいいよ。がんばってね。」

「任せとけっ!」

その後しばらく出番がなかったから二人で近くに座って張り付きながら観戦していた。

100m走のアナウンスが流れるとりんが勢いよく立ち上がって

「んじゃいってくるからちゃんと見とけよ。たまにはかっこいいところ見せたる。」

「ん、わかった。楽しみにしとく。…今でも十分かっこいいじゃん。」

「え?ちょ先生待ってよーそんな引っ張らなくても行くって!」

一瞬振り返ろうとしていたが100m走の担当の先生が来てりんのことを引きずっていった。


生徒が整列すると入場の音楽が鳴り始め小走りで入ってくる。3年は最後に走るためりんも後ろの方にいる。

全員が並び終わると最初の走者がレーンに入って準備している。

「いちについて…よーい、パンッ!」

少しうるさく感じるほどのスタート音が鳴り響いて一年生の選手から勝負が始まる。

赤、青、緑、黄と別れていて私とりんは赤だ。

赤の生徒を見ていると1位にはなれていないが2位3位くらいにはゴールしている。

自分では味わえないスピード感を楽しんでいるとりんの出番が近づいていた。

少しりんの方に顔を向けると近くの人と喋っていたのだろうか笑っていたが出番が近づくと真剣な顔をして自分の番を待っているようだった。

「あ、真ちゃん。りん走るねぇ。」

「うん。」

「真ちゃん気づいてないかもだけど今すごく笑ってるよ?」

顔が緩んでいるのに気がついていなくて少し恥ずかしい。

「あ、りんの番来たみたいだよ。見るんでしょ。」

りんの方に意識を向けているとスタート音に少しビビったがりんは勢いよく飛び出していき、先頭に立った。

「りんー!頑張れー!!」

普段大きい声を出さないわたしが出しているのを見てクラスメイトが笑っていたがそんなのは関係ない。今のわたしにはりんが一番を取るほうが大事なのだ。

届いていたかはわからないが少し笑ったような気がする。りんのスピードは落ちずそのままトップでゴールした。

1位のところに座ったりんはこっちを見て笑っているんだろう。

「りん〜こんなところからじゃ見えないよ。目悪いの知ってるでしょ?」

誰に聞こえるでもなく呟いたこの言葉は、目の悪い自分を殴ってやりたくて出た言葉だ。

「その満面の笑みちゃんと見たかったなぁ。」

りんのあとの人達は見る気になれなくて退場口の近くまで走っていった。

全員が走り終わると一斉に退場口に走ってきた。

「真ちゃん〜1番取ったよ!」

「はいはい、分かったから席戻ろ?」

「うんっ!」

保護者も来ているのにいつも通り、りんが席に座ってその上にわたしが座る。

「あんまり首に顔近づけないでくれない?匂いとか気になるし…。」

「んー?いい香りだよ?真ちゃんってわかるやつ。」

「やめてってば…はぁもういいよ。好きにして。」

「やっちゃー!」

次にりんが出るのは選抜リレーで私は綱引きだ。花のJKに綱引きとはなんと言えばいいものか泥臭く感じる。それでも競技だからでなければならない。

「もうそろ終わりそうだから、入場口行ってくるね。」

「いってらっしゃーい。頑張ってね。」

綱引きは集団戦だから私一人でなんとかできるわけではないがそれでも全力でやろうと思えた。

トーナメント式で勝ったほうが別の勝った組とやることになる。

最初の相手は黄色だった。

一回戦目は女子対女子で黄色の勝ちだった。二回戦目は男子対男子で赤が勝ってくれて、あとは最終戦で決着が決まる。

今まで体育祭や運動会で本気になってやったことなんてない。

でも今回は勝ちたくて声まで出して全力で縄を引いた。

結果は…審判が悩んでいたようだったが赤の旗が上がった。

「「「よっしゃー!!!」」」

少しの間歓声が飛び交っていたが、アナウンスで次の綱引きが始まると言われた。

相手は緑だったが黄色よりも弱くて圧勝して終わった。

全力で引っ張ったから足と腕が死にかけで迎えに来てくれたりんにのしかかって席まで戻った。


お昼の時間になって二人で食べていると

「あ、真ちゃんこのあとの競技何があるー?」

「んー二年のダンスの発表があってその後に選抜リレーがあるよ。」

「そっか選抜リレー出るんだった。」

「忘れてんのかよ。」

「んーほらあんまり興味ないじゃん?だから忘れちゃうんだよね。」

そんな感じで話しているとお昼の時間が残り五分位になっていて席に戻り始める生徒がチラホラと出てきた。

「私達も行こっか。」


二年生のダンスは照れている子が多くて、見てて楽しかったがそれよりも選抜リレーが楽しみすぎてうずうずしていたらりんに笑われた。

「もうそんなに笑うことないじゃん!」

「いや~だって可愛くて。私が走るだけだよ?」

「だってアンカーなんでしょ。最後とか見せ場じゃん。だから…楽しみで。」

「んー!もうっかわいいなぁ。よーし頑張っちゃうかぁ。」

「普段の体育とか全然本気でやらないもんね…。」

「そういうのは黙っとくの!やらなきゃいけないときはやるからいいじゃん。」

「ん、そうだね。ほら出番だよ。行ってらっしゃい。」

席から立ったりんはこっちに手を振ってから入場口に走っていった。

選抜リレーは男女別で各クラスから二人ずつ出していて同じ色の一年〜三年でバトンを繋いでいく。

りんから練習の話を聞いていると毎回ギリギリ勝てないらしい。

タッチの差で負けるから勝てないこともない。

あとはりんにバトンを渡すまでどれだけ差をつけられずにいられるかだ。

「いちについて…よーい、パンッ!」

まずは一年生からだ。勢いよく飛び出していった四人にそこまでの差はなく次の人にバトンが渡っていく。この時点で赤は最下位で一位は青だった。

二走者の人たちは少しずつ距離が空いていって赤は三位になったが一位は変わらず青のままで三、四走者の時も順位は変わらなかった。

りんは私達観客席側から走り出すらしく少し見やすい。

一位との差が結構ついてしまったから心配してみているとりんと目があって口が動いているように見える。

「んーなんだろ。心配しなくていいよとかかな?」

首を傾げてわからないとアピールしてみるとりんが胸のところを叩いてドヤ顔をしてきたので手で払っといてやった。

五走者の人の時点で一位と約一秒ほど差がある状態で自分が走るわけでもないのにすごく緊張していた。

「…りん。勝ってね。」

ついにバトンがりんに渡った。

…少しだけ放課後練習していたのが見えてちょうど見たのがバトンパスのタイミングだが二人共が全力の状態でバトンパスをしていて差が縮まっていくのが見えたことがある。

練習よりももっとスピードが乗った状態でのバトンパス。

一位との差は一歩くらいにまで縮まっていた。

緊張しすぎて声が出ず見ることしかできなかった。

少しずつだけど着実に距離を詰めていくりん。

勝負はゴール前の直線で決まる。

ゴールまであと20mくらいで一位と並んだりんはそのまま並走していってゴール直前で派手にすっ転んだ。

「えっ…。」

ゴールが観客席の反対だからどっちが先かなんて見えていなかったがそれよりもりんが心配でとりあえず救護テントの方に向かってみることにした。


「あ、真ちゃん。えへへ…転んじゃった〜。ちょっと痛い。」

「何当たり前のこと言ってんの。すみません先生私が手当してもいいですか。」

「え、真ちゃんがするの…?」

「だめ?」

「それは断れないじゃん…。」

スピードが乗った状態で転んだから足が擦り傷で大変なことになっていた。

「ちょ痛い。痛いってば。」

「少しくらい我慢して。傷残ったら嫌でしょ?」

「別にいーよ傷だらけだし。」

「私が嫌だから大人しくしてて。」

「なんで真ちゃんが嫌なのさぁ。」

「せっかくきれいなんだから傷残るのやだなぁって。」

「褒められたから大人しくしとく!」

「全然大人しくしてないじゃん。」

手当を終えるとりんがじーっとこっちを見てくる。

頭を近づけてくるから撫でてやってついでに抱きついてみる。

「よく頑張ったね。お疲れ様かっこよかったよ。」

何も返ってこなかったから不思議に思って顔を覗いてみると真っ赤でタコのようになっていた。

「なんで顔真っ赤にしてんの?」

「いや…だってずるいじゃん!普段褒めないくせに急にそんなに褒めるの!」

褒めると嬉しそうな顔をするからこれでも褒めるようにしていたのだがりんには足りてなかったようだったので追加でしておく。

「…かわいいね。」

「あー!もう無理やめて。これ以上は死ぬ。」

「んじゃやめとく。可愛かったけどなぁ。照れてるのも。」

りんがオーバーヒートしたようなのであとは先生に任せて自席に戻ることにした。


閉会式などが諸々終わって生徒たちが帰り始めるとりんが少しひょこひょこしながら近づいてくる。

「お疲れ様ぁ。疲れたし帰ろー。」

「帰ろっか。」

怪我を理由に片付けはサボって二人で帰ることにした。

帰り道はお互いに疲れていたようで会話もなく別れた。

家に帰って自室のベットに寝転んでスマホをいじっているとりんから褒め殺し禁止!と来ていたのでやめてあげないと返しておいた。

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距離感が近めな女の子 緋月 羚 @Akatuki_rei

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