登場人物の髪って百人百色だよね…おかしくない?
作者「登場人物の髪色、あれおかしくない?」
友人「…なんだよ急に」
作者「いやさ、わかってはいるんだよキャラ付けだって。にしても理由なくカラフル過ぎません?――もったいないよ!」
友人「うわ出た、設定厨…まぁ確かにアニメ見るときは毎回思うよね。初回から黄色、ピンク、赤とか出てくると『うわぁ…』って萎えちゃうのはあるあるだよね。キャラは覚えやすいけど世界観に入り込んでいけない」
作者「で、主人公は黒髪なんだよ。下手なりに物語を作っている立場から言うとさ、それって我々日本人が慣れ親しんだ違和感のない色を主人公に使うことによって感情移入がしやすくなるようにしてるなぁ…って見てて思っちゃうの」
友人「…そこまでは言ってないよ、考え過ぎでしょ。でも腑に落ちてしまった、悔しい」
作者「だろ?ただだからと言って俺がアニメアンチなんかじゃないってことは分かって欲しい。アニメ制作はキャラデザさんたちの労力も考えないといけないからな。費用対効果の話。だからキャラ付けするために一番楽な方法は…と考えるとカラフルな髪に行きつくってわけよ。にしても理由なくカラフル過ぎません?――もったいないよ!」
友人「おう、戻ってきたな。たださっきより納得できたかも」
作者「だろ?小説はアニメと違って絵がなくて文字しかない。だからキャラの髪色を変えるだけじゃキャラ付けにはならない。一つ行動するたびに『赤髪のシャンクスは…』なんて書けないからな。だから口調・性格・行動原理等、色々考えなければならない。で、そのキャラクター設定をする中で必要になってくるのだよ、世界設定が、髪の毛がカラフルな理由が!」
友人「ちょいと強引だけど理解できてしまうんだよなぁ…これがなーろっぱ現象か。あ、また話逸れそうだから戻します―――よくもまぁ作者は髪色一つに夢中になれるもんだ」
作者「それで物語の深みが増すのならやるべきだろ…だから聞いてくれ、俺が考えた髪色がカラフルな理由を――魔力ってな、16,777,216色あんねん」
友人「…多くね?そこは200くらいでしょ。でも興味湧いた、聞かせて」
作者「その言葉を待っていたよ――俺は考えたわけだ、ファンタジー世界で一番カラフルな要素は何だろうなぁ~って、魔法だろうなぁ~って、そのもととなるのは魔力だろうな~って。ところで、基本属性って言われたら何を想像する?」
友人「え~っと、火・水・風・土かな?」
作者「そうだね、最もオーソドックスな属性はその四つだ。じゃあそれぞれに何となくのイメージで良いから色を付けてみよう」
友人「分かった。まず火属性は赤でしょ?で、水属性は青かな。その感じで行くと風属性が緑になって土属性は茶色」
作者「百点の回答をありがとう。多分ファンタジー好きに聞けば百人中九十人はそう答えると思う」
友人「ちなみに残りの十人は?」
作者「九人は奇をてらった発言をして目立ちたい人、残り一人は素でズレている人……いいんだよ、そこは気にしなくて」
友人「ごめんごめん。要は大多数は火=赤・水=青・風=緑・土=茶色と思っているということだよね?」
作者「そういうこと。そして茶色を除く三色は混ぜ合わせることで赤256種×青256種×256種=16,777,216種類の色のバリエーションが生まれるってわけ。ここまでよろしい?」
友人「うん、赤・青・緑ってそれぞれ256種類もあるんだ…って驚いてはいるけど、白に200色あればそりゃあるだろうなって納得できる。それでここからどうするの?」
作者「はい、ここで属性適性という異世界あるある理論の一つをぶち込みます」
友人「あるあるだね~『なにっ、全ての適性を持っているだと!?』『あれ、俺何かやっちゃいました?』ってやつ。好き嫌い別れ…」
作者「俺あれ嫌い、だから人類は基本全員三属性の適性を持つ設定にします。俺TUEEEなんてさせません」
友人「おぉ偏ってるねぇ…でもそれがどう髪色に繋がっていくの?」
作者「属性適性は遺伝するものなんです」
友人「なんで?」
作者「そういうものだから」
友人「諦めも大事ってことだね。でもこの人は緑色の頭なんだ!って裏設定の一つもなく言い張られるよりは確かにマシだね」
作者「そういうこと。真面目な話、作者含めほとんどの書き手は特定の分野において専門的な知識がないor齧った程度の人間だから世界設定するにも限界があるんだよね。だから常にベストを求めるんじゃなくて時にはベターで妥協しよぜってこと」
友人「だから遺伝性なんだと決めつけちゃうわけだ」
作者「そ、作中の学者っぽい人に断言させとけば良いんだよ。『適性は遺伝だ。自分自身で決められるものではない』とかなんとか書けばそれで読者は騙せるから」
友人「言い方、言い方。それとまた脱線してる、話を戻そう」
作者「何の話してたっけ?」
友人「髪の色は属性適性に関係していて遺伝的なモノ。それで人はみんな基本的に火・水・風の適性を持って生まれる」
作者「あぁ、そうだそうだ。それで三つの適性の比率は人によってバラバラなんだった」
友人「初耳ですが?」
作者「…例えばAさんの器――属性因子の総量が100だったとする。内容は赤40、青30、緑30。一方でBさんの属性因子総量が60、内容は赤10、青30、緑20――…さぁこれを見てどう思う、友人よ」
友人「Aさんが得意な属性は火属性でBさんは水属性。ただ水属性に関してAさんは火属性より得意ではないもののBさんと同じくらいの才能がある。風属性に関しては言わずもがなAさんの方が才能がある。総じてAさんの方が魔法使いとしての才能が上……ちくしょぉ、なんでわかるんだよっ、初めて出てきた単語もあるって言うのに!」
作者「なーろっぱ現象さ。あ、ついでに聞くけどAさんの髪色って何色?」
友人「…赤の影響で少し茶色がかった、深緑寄りの色――ダークオリーブ。または赤と緑が混ざったことで、落ち着いた茶色寄りの緑――ブラウニッシュグリーン。…ちょっと待って、Bさんも分かる。彼は青と緑の混合で生まれる深い青緑色――ダークティール。またはシアンに近い色合いだが、赤の影響で少しグレイッシュになった色――グレイッシュシアン。それだけじゃない、属性因子の色自体に個人差があると設定すれば種類は広がる…」
作者「察しが良くて助かります、この調子でいこうか。もう髪色問題はこれで解決したから、今考えたこれらを使って物語に深みを持たせる作業をみんなに見せたい」
友人「お願いします…」
作者「よし…Aさんの属性因子総量の内容を思い出せる?」
友人「赤40+青30+緑30=100」
作者「そう。で、思うんだけどさ…これって器用貧乏じゃない?火属性特化にしたくない?」
友人「確かに。属性因子量=才能って考えると青30+緑30を全部赤に移して赤100にしたい」
作者「『得意はないけど苦手がない』より『多少苦手があっても一芸がある』方が魅力的っていうのが大多数の意見なんだ。これって現実世界だけの話かな?異世界の住人も同じだと思いません?」
友人「思うだろうね。それがどうしたの?」
作者「へい友人、忘れたのかい。属性因子は遺伝するんだぜ。交配する相手を選び続ければ遠い未来にいずれ赤100の子供が生まれる可能性があるんじゃない?この考えって貴族っぽいと思いませんか?って話さ。そしてその遺伝は髪色にも表れる。赤100の人間はもちろん一つの色素しかないから混じり気のない赤色だろうよ」
友人「…間違いなく髪色による差別が始まるだろうね」
作者「そうだな。ただ差別と言っても実は二つの種類があってだね。一つは少数派が弱かった場合に起きる典型的な弱い者虐めという名の差別。もう一つは少数派が強かった場合に起きる選民思想という名の差別。当然今回は後者の方の差別だ」
友人「属性因子を先祖代々選んで磨き続けたのが貴族、それ以外が庶民ってことか」
作者「ビンゴ。貴族連中は完全な単色とはいかないまでもそれに近い状態だから、彼らの髪の色は赤・青・緑に近い、言い換えればアニメっぽい色になるだろうね。そこに国の南部にある火山の下には龍脈が通っていて、火属性因子を持つ子供が生まれやすい~とかなんとか言えば髪の色による地域分けも出来ます」
友人「おぉ~…天才じゃん」
作者「ふふん、もっと褒めても良いんだよ?なんか気分が良いからさらに教えちゃう!」
友人「よっ、作者様!」
作者「闇属性・光属性・雷属性・氷属性とか欲しくない?」
友人「欲しい」
作者「光の三原色って知ってる?」
友人「赤・青・緑の光がすべて合わさったら白になるやつでしょ?」
作者「白って光属性っぽくね?赤:青:緑=1:1:1にならないと生まれないから特別感出るくね?」
友人「ぽい。出る。」
作者「赤と緑で黄色、雷属性っぽくね?」
友人「ぽい」
作者「赤と青で紫っぽいピンク、闇属性っぽくね」
友人「毒じゃない?でもまぁ言えなくもない」
作者「毒は暗器に塗れば事足りるからいいの。最後は緑と青で水色、氷属性っぽくない?」
友人「ぽい……あ、でも土属性忘れてた。これってどうやって説明するの?」
作者「ちっ…覚えてやがったか。でも安心してください、宗教を持ち出せば一発解決です」
友人「危ない話?」
作者「その発言が一番危ないよ…。んんっ―――『神は現世をお創りになるとき、まず初めに母なる大地を作りました、次に海を作り太陽を、そして風が生まれました』――こんな感じの神話を作って『土属性は地母神Xにしか使えない特別な属性、故に只人である我々は扱うことが出来ない』と教会で神官に言わせればそれっぽくなります。ついでに言うと海と太陽どちらが先に出来たのかを争って宗教論争が起こせば物語の幅が広がるんだろうなぁ…って思ってまぁす」
友人「赤と青と緑を適当に混ぜれば茶色に近づくことも考えれば…」
作者「もっと広がるね。だって庶民の大半は茶色に似た髪の色をしているんだから」
友人「…どこまで考えてるのさ」
作者「え、一度も登場していない黒を魔族に重ねたら~…とか、あとは―――」
友人「終わんないね」
作者「終わらんね、終わろうか」
気にしいの設定厨によるファンタジー論 海堂金太郎 @kakechankakka
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