気分はまさしく冒険家

「4つのアイテムのうち、『星の砂』は奴が持ってんでしょうね」

「んなっ!? マジか!」

「だからこそ、この島に眠る鳥葬の槍。それを手に入れた方が夢に近づくってわけ。まだチャンスは失われてない。絶望するのはまだ早いわ」


 突如明かされた重大事実に、こちらが戸惑っている間に颯爽と小舟は消えていく。とある浮島に残された俺たちは鬱蒼と生い茂る密林の中へと足を踏み入れた。


「砂であれば器さえ変えれば持ち運びしやすいですね」

「よりによってあいつが持ってんのがムカつくわ。レイヴン! なんかいい手はないの? 知り合いでしょ、彼奴!」

「セイがいる以上、多くは望まねえ事はわかってるしな……強いて言えば、俺の首とか?」

「「それは最終手段」」

「手段ではあるんだ!?」


 道なき道を進む。大型の鉈でばっさばっさと枝葉を切り落としていく。向かうべき方向は、方位磁石を頼りに決める。先陣は俺、所轄肉壁だ。動物に噛まれても大丈夫だからとはいえ、もう少し優しさが欲しい。

 そんなこんなで密林の奥へ奥へと進むが、二時間近く歩き、そろそろ遺跡が見えてきてもおかしくないにもかかわらず影も形も見当たらない時点で、とうとう船長が弱音を吐いた。


「もう嫌!! 疲れた!! もう歩きたくないんだけど!!」

「ダメです。時間をかければかけるほど、ルリが追い詰められていく可能性が高いんです。あの牢屋でまともな捕虜扱いされてるとは思えません」

「ったく、夢双が使えれば話は早いけど。あの檻、想像力を散らす効果があるもの。誰が教えたか知らないけど、あるはずがない技術だけどね」

「でも確かに、場所くらいは特定したいよな。よし、ちょっと上から周囲を見てみるわ、よっ!!」


 船長が見守る中、俺は膝をたわめた次の瞬間、爆発音と同時に姿を消す勢いで跳躍


「そういえば総長の夢双伝播って何ですか? 炎を操ってるのはわかりますが」

「あれは夢双伝播の応用でしょ。何となくだけど。そもそも仲良しなアンタが夢の内容を知らなければ、私がわかるわけないじゃない。レイヴン! 何か見えるかしら!!」

「あった!! そのまま11時の方向に進んで! なんか、それっぽい遺跡がある!」


 俺の言葉にタカと船長が顔を見合わせた後、若干、わくわくした気持ちを感じさせる足取りで遺跡の方へと向かう。遺跡へ近づくにつれ木々が太く、草木の密度も上がっていく。まるで、自然そのものが侵入を拒んでいるかのようだ。


 そんな草木を、俺が蹴り砕き、船長が水による衝撃波で吹き飛ばしながら進むと、遂にそれが姿を現した。薄暗い密林の奥に、ひっそりと佇む石造りの遺跡。どこから、どうやって運んだのかは分からないが、人間の大人より大きな石を積み重ねて作られている。断面は驚くほど綺麗で、石と石がぴったりとくっついている印象だ。


 とはいえ、石の間からは雑草や木の根が突き出していたり、建物全体を蔓がびっしりと覆っていたり、石自体にも亀裂や風化が見られた。

 成長した木が建物を突き破り、石ですら影響を受けるほど年月が経っているのだとよく分かる。構造自体は極めてシンプルだ。田舎にある少し大きめの屋敷くらい。二階部分はなく、平屋だ。


「入り口はあるが、広さとしては中途半端だな。ちょっと広いマイホームくらいだろ」

「油断しない。高さがないって事は中が広くなるようになっているか………または」


 船長が横に長く、点々と窓らしき四角い穴が空いている個所を拳でコンコンと確かめるようにたたき、鈍い音がした個所を叩きながら、俺を手で招く。


「レイヴン! ここを壊してみなさい」

「了解。そいやっ」


 脚を振って摩擦熱で発火。からの回し蹴りが壁に炸裂した瞬間、土煙と一緒に瓦礫が飛び散る。


「なんか小説の宝島みたいだな………」

「アンタ、小説なんか読むのね。意外だわ。頭が随分と可愛らしいくせに」

「馬鹿って言いたいんです? セイから勉強の前に本を読む習慣をつけられたんです。最初は銀河鉄道の夜とか読まされたな」


 砂煙が収まった先にはぽっかりと、まるで誘うような暗闇が広がっており、船長は躊躇う事なく、大人の男が九マス並びで並んでも余裕がありそうな四角い穴へ入っていく。


 中は四方を石で固められており、真っ直ぐ下へと伸びている。綺麗に整えられた階段はあるが、暗い為、夜目が効かないと降りるのに苦労しそうだ。


「レイヴン、火貸して」

「ん、ああ。はい」


 後ろについて来ていた船長が松明を差し出したので、脚を振って火をつける。それだけでマシにはなったが、


「底が見えねえな………どれくらい下に続いてんだ?」

「さあね。でも相当深そうだから慎重に降りるわよ」

 石壁に沿って慎重に階段を降りていく。体感的には1時間経過したが、未だに底は見えない。ただ暗闇で降りるという単調作業は精神に中々くる。


「ってか、レイヴン。アンタ、あの男の女を寝取ったのは本当なの?」

「誰がそんな事しますか。そもそも付き合ってたならこっちだって身を引いたのに。いつまでも隼が告白しないから………」

「じゃあ、初キスも違うの?」


 故に耐えられなくなったであろう船長からの言葉にうんざりしながら、返答を返せば悪ノリするようにニマニマと笑っていて。


「してないし、覚えがなさすぎる。俺が彼女とした事なんて、バイク2人乗りしたり、一緒に図書館で本読んで勉強したり、パルクールしたりなんだけどな」

「ちゃんと青春してるじゃない。いいわね?じゃあ、告白しなかったのは何で? 好きだったんでしょ? 彼女のこと」

「まあ、初恋だったんだろうな。って気持ちはあります。元はパルクールで日本1位になったらしようと思ってましたが、あのザマです。加えてさっきので見事に失恋しましたが」

「ハッ、あんなアバズレに惚れたなんて見る目がないのよ、アンタは」

「普段のセイはツンデレ?気味だからそんな事しねえって思ってたのになぁ。俺も夢を見すぎていたんですかね」

「女の子は秋空みたいにコロコロ変わりますからね。オレも覚えがあります。モテない総長と違って」

「両片思い2人から恋愛相談受ける俺の気持ちも分かれ。オセロじゃねえんだよ」


 何故だか失恋の慰めみたいになっているが、ちょっと胸のつかえは取れた。やる事自体は変わらない。俺は逃げずに夢へと突き進むだけだ。決意新たに階段を降りれば、肩を叩かれて、船長が小さな声で何かを囁いていた。


「ねえねえ、あの男と知り合いなんでしょう? 現実の事が知りたいわ。何か弱点あるかもだし」

「甲板で語ったことが事実ですよ。他に何かあるかと言われても会ってないしな。奴に病院に近づくなとは言われてますが。セイの両親さえも出禁ですしね」

「駒鳥?ちゃんの両親が出禁? なんで?」

「セイの兄貴に必要な臓器を駒鳥から渡す為に、わざと殺そうとしたからですね。ご丁寧に邪魔な俺に罪を被せる為に鷲宮を利用して」

「馬鹿じゃないの、駒鳥の家族。そこまでして兄貴を生かす理由があったの? 世界に名前を残す人物だったとか?」

「医大生だったんです。三流大学らしいですが、両親は溺愛していて、訳の分からないスポーツしている妹より価値があると思われていたようですね」

「待って。駒鳥って、パルクールの日本王者だったのよね?」

「加えて、三連覇。その上、世界の切符を手に入れてましたがそれでも兄貴を生かしたかったらしいです。価値が高かったのは本当はどちらなのやら」

「結局、駒鳥ちゃんの両親はどうなったの?」

「セイの兄貴が俺の冤罪を明かしてくれたんですよ。何でかは知らないですけどね。その甲斐あって今頃、両親は刑務所じゃないですか?」


 そんな雑談を繰り返し、体感的に相当深くまで降りて、まだ垂直通路は終わらないのかと思い始めた頃、遂に足下の石畳に辿り着いた。


「体感で50メートルくらいか? どれだけ降りて来たんだ俺たちは」


 距離測定をしつつ、口を開けたような暗闇が広がる穴からなんとも言えない匂いが鼻腔を突いた。まだ下にあるらしい。念の為、松明を落としてみる。三メートルくらい下で音を立てて転がるが、明かりの範囲には何もない。石畳が見えるだけだ。何かが反応することもなかった。


 船長と頷き合って地下空間へと飛び降りる。そして、俺の足下で不吉な音が鳴った。


 僅かに沈み込んだ床の石に、船長が首を傾げた瞬間、横の壁から槍が飛び出した!


「ふゃあ!?」

「ちょっ!?」


 反射的に仰け反るようにして槍をかわせば、直ぐ後ろにいた船長が小さな悲鳴を上げて槍を掴み取った。左目の眼前で穂先が止まっている。わりとギリだった。


「何で避けんのよ!? アンタ、これくらい何ともないでしょ!?」

「反射的に体が動いたからだよ!! 目の前に槍が飛んできたら誰だって避けるわ!」

「私以外だったら、死んでるわよ!」


 改めて周囲を見渡せば、石造りの通路が右と左、奥へ奥へと延びている。幅は五メートルくらい、高さは三メートルくらいの立派な造りだ。


「さて、どっちに進む?」

「どっち選んでもいいですよ。まず総長を歩かせて、安全確保したら進むので」

「弁護士を呼んでくれ、いつか必ず訴える」


 では、早速右の道へと進むことにする。


「馬鹿め。トラップなんてのはな、周りに気をつけていれば引っかかっ『ガコンッ!』」

「語るに落ちたわね」

「見事なフラグ回収です」


 軽い足取りで踏み込んだ通路の両側と天井から、恐ろしい熱量の火炎が噴き出した。


「あちゃちゃちゃちゃ!! 船長! 水! 水!!」

「何でアレで生きてんの………アンタ実は吸血鬼とか人狼、若しくは夢魔じゃない?」

「あちゃちゃちゃ!! 夢魔ってアレ!?諸葛サキュバス的な!? というか水は!?」

「そうよ。レイヴン。夢の中で契約を結んでくるえっちな悪魔。契約すれば莫大な力や富が手に入ったりするわね。吸血鬼は言わずもがな」

「そんな事より、早く水!」


 炎に呑まれた俺を、通路の手前から何とも言えない表情で眺めていた船長はドン引きしながらも水をかけてくれる。日焼けしたみたいに全身がヒリヒリする中、立ち上がればまたもや異質な音が鳴る。


「今度は丸鋸かよ!!」


 そんな刃が滑るような音を響かせながら、左右の壁のブロックの隙間から高速回転・振動する円形でノコギリ状の巨大な刃が飛び出してきた。

 右の壁からは首の高さで、左の壁からは腰の高さで前方から薙ぐように迫ってくる。


「馬鹿め! 俺を舐めてたら火傷するぞ!」


 だが、やられっぱなしなのも癪なので丸鋸を手と脚で勢いをころして止めてみせるが、


「あっ、3つ目」

「動き止めて両断とは中々やりますね」

「そろそろ助けてくれても良くない!?」


 なんと真ん中から三つ目の丸鋸、先程の刃と同じく高速振動している。動きを止めても必ず殺す、殺意の罠に流石に助けを呼べば、船長は肩をすくめて、


「左の道を歩くわよ」


 左の道へと視線を向けながら、抜かれた拳銃からノールックでの6発の発泡音。石壁を跳ね返り、丸鋸に全て突き刺さると、内部から弾け飛ぶようにして砕け散る。


「え、何これ」

「跳弾。着弾と同時に衝撃が走って内部から破壊するのよ。ぼさっとしてないで早くいくわよ、肉壁」


 とんでもない技量を見せつけられて、困惑するしかない俺を船長は置いていくのだった。


17


「母親の事は良く分からないんだ。赤ん坊の頃に、父が俺を連れて逃げ出したようで」


 肉の盾となり、前を歩くその道幅は六、七メートルといったところだろう。結構急なスロープ状の通路で緩やかに右に曲がり進んでいく。

 おそらく螺旋状に下っていく通路なのだろう。道を進む中での雑談は親についてが題目だった。きっかけは船長だが、それはどうでもいい。


「そこから10年余りを父と過ごしましたが、あまりいい環境でなくてですね、体質もあって邪険にされてましたよ」

「アンタの体はその母親譲りって事?」

「さあ? ただ、父が酔った時に言っていたのは俺の体質は母譲りらしくて。今更ながら半信半疑ではあったが、夢の世界なんてもんがあると信憑性も増すってもんだ」

「その母親ってのが怪物って訳? 母親が犯罪者なら父親も逃げるし、アンタが屑になった理由も何となく分かるわ。同情はしないけど」

「ん? ああ、違うよ、船長」


 船長の言葉に訂正を入れる。彼女から聞いた話ではそうじゃない。だからこそ、余計に謎なんだが。


「実の母は夢追い人だったと聞いてます。犯罪すれすれだったけど、現実の法律では絶対に裁けないそんな存在らしくて」


 そこから逃げ出した父はなぜ俺を連れて行ったのか。邪魔な存在でもここに居たらいけないと僅かな親の情でもあったのか。それとも別の理由があったのかは定かじゃない。確定しているのは俺の体が常人離れしている事だけ。


「でもよかったじゃない。母親に捨てられた訳じゃないなら、今でもアンタを探してくれてたりするんじゃない? それは母親にとって、アンタは生まれた価値があるって事じゃないの?」

「どうだか。今なお、会いにすら来ないという事はじゃまだと思ってるんでしょう」

「そうでしょうか。総長。会ってもいない母親がずっと貴方を探しているかもしれませんよ。ルリの親が外道だからって、総長の母親も屑とは限りません」

「かもな。お前の両親みたいに最期まで息子の未来を心配する優しい両親なら、夢があるな」


 今更両親に泣きつくような年齢でもない。ましてやあっちから接触がないのだ。こちらから会いにいく必要もないだろう。タカの擁護が入ったが、それでも気持ちは変わらない。


「どっちみち親は俺を望んでいなかったって『ガココン!!』事………またかよ、くっそ!!」

「歩く罠発見機ね」


 今度はどんなトラップだ? と周囲を警戒する俺達の耳にそれは聞こえてきた。

 明らかに何か重たいものが転がってくる音が。


「「「……」」」


 全員が無言で顔を見合わせ、同時に頭上を見上げた。スロープの上方はカーブになっているため見えない。異音は次第に大きくなり、そして……奥から通路と同じ大きさの巨大な大岩が転がって来た。


 船長はそれを確認し一度「ふぅ~」と息を吐くと、笑顔のまま再度俺達の方に顔を向けた。そして笑顔がスっと消えたかと思うと、


「逃げるわよ、ちくしょう!」


 と叫び、いきなりスプリンターも真っ青な見事な踏切でスロープを駆け下りていく。続いてタカ、俺だ。


「船長の走るフォーム綺麗だな。なんかスポーツやってた?」

「無駄口叩く暇あるなら、走りなさい!!」

「船長!! 出口です!」


 タカが指し示す先には下に繋がる大穴。あからさまに誘われてるとしか思えないが、逃げ場がない以上、飛び込むしかない。

 真っ先に飛び込んだ船長に続いて、穴に飛び込めば船長の舌打ちが聞こえて、その原因が見えた。出口の真下が明らかにヤバそうな液体で満たされてプールになっていたからだ。


「レイヴン!! 足を貸して!!」

「了解!!」

「タカは歯を食いしばれ!!」

「お手柔らかにお願いします!!」


 落下しながらも、船長の足裏に俺の足を重ねて蹴り飛ばせば弾丸のように突き出た壁へ飛んでいく。

 同時にタカの背中を蹴り飛ばして、先に着地した船長が回収する。そのまま、足先の爆発で俺も飛び移ろうとして、


「レイヴン!! 上!!」


 後ろから迫って来ていた鉄球が落ちてくるのが見えた。危機的状況に陥った際に俺の体は優秀な働きを見せる。真っ先に空を足場にして爆風で再び飛ぶ。空中で構えた足先に真紅の炎を灯らせて。


「八咫烏の嘴!!」


 爪先に熱を集中させて、鉄球を貫こうとするが並大抵の強度ではない。ならばと爪先から足の甲に当てる箇所をずらして、振り抜いた。

 鉄球は液体に沈み、刺激臭の煙を放ちながら底へと沈んでいく。俺はそのまま爆風で空を飛んで無事生還。


「お二人は無事ですか?」

「なんとか………ってまずアンタは自分の心配をしろ!! 怪我はないの!?」

「へーきです! 体は丈夫だし、何より優先すべきは他人の命がモットーですから! 次点で夢の為に俺の命が来ますけど!」

「馬鹿! アンタ、馬鹿!! もうちょっと自分の命を大事にしなさい! 一夜だとしてもアンタも大事な仲間なのよ!?」

「その格付け、絶対的な差がありますからね。命、大事には八咫烏の合言葉でした」

「俺はガンガン行こうぜだったけどな」

「お願いだから………もうちょっと自分に優しくしなさいよ」


 何故かそれに押し黙ってしまった船長の間に入るように、タカが突っ込むがこればかりは変えられない性分だ。


「まあいいわ。話は終わり。全員無事なら、後はこれを乗り切るだけね」


 船長が親指で指し示すその部屋は長方形型の奥行きがある大きな部屋だった。壁の両サイドには無数の窪みがあり赤十時が記されたボロい棺桶が仕舞われている。

 部屋の一番奥には大きな荘厳な扉があった。間違いなくあれが出口と言えるだろう。


「いかにもな扉だな。番人の住処に到着か? だけどこの周りの棺桶に嫌な予感がするのは俺だけですかね?」

「お約束よね」


 そんなことを話しながら部屋の中央まで進んだとき、確かにお約束は守られた。もう何度聞いたか、分からないスイッチの音。

 そして、お約束のように埃を被っていた棺桶の蓋が落ち、中から出てくるのは──紫色の子供達。離れた距離から漂ってくる牛乳が腐ったような匂いと、腐敗が進み、紫に変色した肉体からしてまさにゾンビだ。


「タぁぁぁ」

「テぇぇぇ」


 助けを求めるように呻く子供達だが、彼らが歩いた後にはカビが尋常じゃない速度で繁殖している。触られて仕舞えばどうなるかは明らかだ。


「胸糞悪い………番人は何考えてんだ」

「ショタコンでネクロフィリアとかじゃない? 現実でこんな事が起きてないといいけどね」

「同感だ、あまりにも救いがなさすぎるからな」


 船長の言葉が本当なら、夢の中で考えるくらいに済ませて欲しいものだ。そこまで人間は残酷じゃないと思いたくて、


「待って、嘘でしょ。彼らは………」


 目を見開いたまま、言葉をなくすタカが現実の救えなさを如実に示していた。

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