第32話 冒険者編 宿屋

 冒険者ギルドのギルド・マスターの部屋に私たちはいた。 ムサいオッサンたちに囲まれた私は少し気分が悪い。


「それで、キング以外のゴブリンはどうしたんだ?」

「集落にいた連中は、私の魔法で全て焼き殺した感じかな。 数は千匹はいたと思う。 その後はセバスと協力して、ゴブリン集団を各個撃破した感じだ」

「全てを合計すると?」

「二千匹くらいじゃないかな」

「じゃぁスタンピードは回避出来そうだな。 よくやった」

「何か、ボーナスでも出るの?」

「そうだな。 討伐報酬として、金貨500枚でどうだ? 当然、ゴブリンの死体や素材は全て出して貰う。 確認の意味もあるからな」

「分かった、ゴブリン以外の魔物の死骸もあるんだけど、それはどうすれば良い?」

「ギルドの裏手に解体所があるんだ。 そこで換金してくれ」

「了解だ」

「じゃぁこれは、討伐報酬分の金貨500枚だ」

「まいどありー!」


 そう言って私とセバスは、金貨を受け取った後に部屋を出た。 朝食時に気が付いた事だが、セバスはレベルが2つ程上がっていた。 私は、キング・ゴブリン以降は上がっていない。


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 名前 : セバス・ドルネイク

 種族 : 吸血鬼

 性別 : ♂

 レベル: 4

 体力 : 3,800

 魔力 : 2,300


 筋力 : 1,864 + 120

 持久力: 1,024

 賢さ : 1,000

 器用さ: 980

 素早さ: 1,212


 攻撃力: 1,700 + 140

 防御力: 1,500 + 20


 スキル: 聖剣技、暗殺術、計算、料理、吸血、血流操作、再生(小)


 弱点 : 日光、聖水、聖銀


 取得魔術: 火炎魔術、生活魔術、闇魔術


 称号: 『元・剣聖』、『暗殺者』、『ルビー・サファイヤの眷属』


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 うーむ。 セバスだって人間と比べれば魔力量が非常に多いんだから、魔術を使えば効率的な狩りが行えると思うんだけどね。


 どうしても、剣聖だった時の記憶が消えないらしく、魔術を使った戦闘には慣れていないみたいだ。 まぁ良いか。


「まずはギルド裏の解体所だっけ?」

「はい、そちらでゴブリンなどの死体は処理してしてしまいましょう」

「だな」


 そう言って、私たちはギルドを後にして解体所に向かった。 何だか見た目は倉庫みたいだ。


「すいませーん。 解体所はここであっていますかぁ?」

「あぁ、あっているぞ。 魔物は何処だ?」

「収納スキルで保存してあるんです。 何処に出せば良いですか?」

「じゃぁ、その奥に頼む。 ついでに冒険者カードも提示してくれ」

「はい、どうぞ」


 セバスと私は、冒険者カードを提示したあとに、指定された場所にゴブリンやオーク、ウルフなどの死体を積み上げていく。


「ちょっ、ちょっと待ってくれ! 一度にそんなに出されても解体なんて無理だ」

「じゃぁ解体できる量ってどのくらい?」

「そうだな。 ゴブリンは魔石だけで良いんだろ? それなら今の分位なら何とかなる」

「じゃぁ、それ以外はまた明日って事で良いのかな?」

「あぁ、何とかなると思う」

「ところで、人間の死体も大量にあるんだけど、何とかならない?」

「なるワケねぇだろっ! 死体処理なんざぁ自分たちで何とかしやがれっ!」

「えーっ、ケチぃ」

「ケチじゃないっ!」


 大量にある人間の死体は、今度草原に行った時にでも焼却処分するしかなさそうだ。 まるで、産業廃棄物だな。 人間の死体って。


 そう思いながら、今度は宿を探す。


「なぁ、セバス。 良さげな宿って知らないか?」

「そうで御座いますなぁ。 貴族街の宿は利用出来ませんし、そうなると、『旅人の安らぎ亭』か『ウサギの尻尾亭』と呼ばれている宿屋で御座いましょうなぁ」

「何故に『ウサギの尻尾亭』?」

「ウサギ料理が自慢の宿でして」

「じゃぁ『旅人の安らぎ亭』で。 案内してくれる?」

「勿論で御座います」


 私はセバスに案内されるがままに、『旅人の安らぎ亭』と呼ばれる宿屋に到着した。


「いくらだい?」

「通常、朝夕の食事付きで、大銀貨1枚だけど、まだ宿を取るには早すぎないかい?」

「いや、夜通しで狩りをしていたんだ。 連れが、もう限界っぽいんだよね」

「困ったねぇ。 部屋の掃除だってしなきゃだし、宿泊は夕方からだよ?」

「だってさ。 セバスは我慢できる?」


「別に我慢できない眠さでは御座いません。 しかし、少しばかり街を彷徨うろつくのは厳しいかと」


「じゃぁ女将さん、セバスだけワインでも食堂でチビチビやっても良いかな?」

「銀貨4枚で、酒とさかなでもだしておくよ」

「じゃぁ2部屋で、大銀貨2枚と銀貨4枚」

「毎度あり。 お嬢さんは夕方にでも来てくれれば良いよ」

「そいじゃぁ、セバスの事は宜しくね」

「あいよ」


 そうして私は、セバスを宿に残して街へと繰り出して行った。


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