第23話 アセンドミッション実験
「そして、これから【覚醒】の最終訓練なんです! 緊張しますぅ!」
いろはちゃんの最終訓練。
いろはちゃんは、今のオレと同様に本体? は地球の自衛隊横浜駐屯地にいるらしい。
で、オレとは違って電極マシマシのパイロットスーツを付け、モーションキャプチャーバリバリの2.6気圧で0.8Gの半球体の中にいるらしい。
その筐体は、人間の実際の動きを数ミクロン単位で戦地ブリルリアルに在るヒト型活動機体の動きに反映させるのだとか。
「このスーツ、身体に密着してとてもエロいんですよぉ! 彰人さんは見ちゃダメですからね!」
おい、なんて情報をぶっこんでくるんだ。
ぜひ拝見したくなるじゃないか。
ちなみに、訓練の種類別で言うと、戦車の操作をしている今のオレは【熟練】のカテゴリ。人体に酷似した機体を操作しているいろはちゃんは【熟練】と【適応】の中間といったところだろうか。
【熟練】による『トランスミッション』は、シミュレーションが上手といった感じと言った方がわかりやすいだろうか。戦車や戦闘機、あとはフライトシミュレーターのイメージそのままである。
で、それが人型活動機体になるとまた勝手が違ってくる。
要は遠隔操作で人体の細やかで複雑な動きを再現するのだ。
繊細な人体は、気圧による空気抵抗や重力などの影響を受けやすい。
なので、【適応】の段階、つまりは実際の肉体でもって月面に降り立って活動する『スペースミッション』の前に、人型活動機体を通じての月面の感覚を掴んでおく訓練である。
まあ、もちろん人型活動機体を使用した【熟練】の隊員もいて、オレの戦車への補給のように細かい作業等を担当する。
なお、月面の重力は本来地球の六分の一であるが、友好的な存在が『戦地フィールド』の環境にも干渉しているためこのような数字になっている。
既出になるが、【適応】している人たちの活動形態について説明すると、彼らは仮想現実空間で魔法や身体強化のステータスを肉体に適応させることに成功し、実際に
彼らの拳は鋼鉄をも砕き、その肉体は銃弾をも跳ね返す。
それすなわち、月面上に展開している戦車群よりも、【適応】した個人の方が強いということ。
現代兵器が生身の人間に戦闘力で劣るという、まさにファンタジー世界のパワーバランスが成立している。
で、いろはちゃんは優秀なので、この段階での人型活動機体による月面環境への順応はとっくにクリアしている。
なので、今日のいろはちゃんの最終訓練はその先を目指してのもの。
そう、【覚醒】を果たしたのは、この広い地球上にオレといろはちゃんとたったの二人。
次元を超えて活動する能力を盛ったオレ達が、
要は、肉体を地球に置いたまま、アストラル体だけを月面に送って100%のチカラで活動できるのかどうかの検証である。
「これより川島曹長の魔法実射訓練に入る! 川島曹長、位置につけ!」
「はい!」
位置に付いたいろはちゃんの操る人型活動機体が魔法の発動体勢に入る。
「いきます! 山火事!」
おい。
確かに魔法はイメージが重要だが、その詠唱? はどうなんだと突っ込みたくなった。
たぶん、いろはちゃんはオレと一緒に運動公園で暴走させてしまった魔法のイメージを再現しようとしたんだろうな。
「おお、発動した」
いろはちゃん操る人型活動機体の前面になにやら揺らぎのようなエフェクトが発生し、その後一瞬で的に1mくらいの円状に炎が上がる。
ふむ、『山火事』としては微妙な結果だが、実証自体は成功だろう。
というのも、今、実際はいろはちゃんの本体? 肉体は地球上に在るのだ。
それなのに、人型活動機体を操って月の裏側で魔法を発動させたのだ。
すなわち、とんでもない遠隔で魔法を行使したことになる。
しかも、威力こそ大幅に減退したとはいえ、正確に的に命中しているのだ。
これで、オレといろはちゃんは地球に居ながらこの『戦地ブリルリアル』にて魔法を発動させた戦闘が可能になるという事だ。
無論、【熟練】の隊員も
現地に乗り込んで戦う【適応】の隊員たちは、その有するアビリティによっては
そしてオレたち【覚醒】組は、
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