【短評4】3000~5000字まで/17作品

〖3000~5000字の作品の傾向〗

 このくらいの文字数があると「怪異」「解決」くらいまで書かれている作品が多くなりました。「怪異」についてしっかり書いてあるものは怖く、「解決」まで書いてあるとすっきりします。もちろん必ず解決する必要はないのですが、バッドエンドにするためには落としどころをしっかり魅せることが必要になってきます。ただ怪異に負けましたおわり、ではなくそこから「だから何?」がある作品はとても強いと思いました。



1【祠の駆除・対策|大日本化学薬品㈱/八文啓】ホラー:3,077字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086832016223

〇増殖する祠を駆除する案内です。

☆ありそうでなかった「生えてくる祠」を駆除する話にニヤニヤしちゃいました。細かい駆除方法や有害な祠一覧に「それらしさ」があって、いい意味でネットの悪ノリ感がありました。



2【あの祠って……(愕然)/🌳三杉令】SF:3,233字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086850468153

〇祠を蹴ったら地球が滅亡する話です。

☆かなりスケールの大きな祠壊しで少し笑ってしまいました。後半のドタバタも含めてナンセンスで、そんな大事なものを半ば放置するなんて、というところが面白かったです。



3【わかれみち/カノエ】現ファン:3,341字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086851233245

〇死ぬために祠を壊しに行く主人公の話です。

☆祠の異様な雰囲気や祠壊しの死の真相らしきもの含めて刹那的で、とても乾いた雰囲気を感じました。旅館の主人が何を考えているのかわからないところが怖かったです。



4【祠の中には生贄一人/海野しぃる】ホラー:3,392字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086536702620

〇祠を壊して、祀られているしあえが様から主人公が逃げる話です。

☆怪異と君死ぬよおじさんに特化した祠壊し文学です。短いお話の中でおじさんと怪異が丁寧に描写されていて正統派の怖さがあります。



5【空の祠/ビート肉】ホラー:3,395字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086849973467

〇過疎地域の祠を壊した話です。

☆方言の雰囲気がとてもよかったです。特にオチに関しては真っ向勝負の怪異とは違ったいやらしさがあり、因習村ものとしても面白かったです。



6【ホコラシゲニソウイッタ/湖城マコト】ホラー:3,578字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086794852985

〇主人公が依頼されて祠を壊す話です。

☆かなりスケールの大きな祠壊しに笑ってしまいました。物語は主人公に軸を置いていますが、謎の財団と巨大な怪異がSCPを想起させます。彼らは同じ名前を名乗っているのか同個体なのか、気になりました。



7【「松江県祠堂確立地区再開発計画」について/一条中納言従三位藤原朝臣公麿】歴伝:3,609字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086588348414

〇破損すると呪う理不尽な祠VS人類の話です。

☆終盤の巨大なホコランドの顛末も理不尽ですが、途中紹介される呪詛も大抵理不尽で野生動物のような怪異がいいですね。レポート風モキュメンタリーの形式もよかったです。



8【鬼女隠しの祠の三兄弟/木古おうみ】ホラー:3,625字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086654747675

〇方言と標準語が混ざり、三兄弟によって祠壊しが語られる話です。

☆三人の語り手の世界を繋ぎ合わせて見えてくる世界が恐ろしく、そして虚しさを感じるホラーです。また祠を壊すことそのものが怪異の召喚ではないところも非常によかったです。




9【のじゃロリ様の祠壊しちゃった!?/白神天稀】ホラー:3,649字

https://kakuyomu.jp/works/16817330669212624047

〇間違えてのじゃロリ様の祠を壊してしまった話です。

☆ほのぼの現ファン的雰囲気漂う前半から「まさかこのまま終わらないよな?」と不安にさせてからの急転直下のオチがよかったです。上げて下げる。いいですね!



10【祠治し/アゴトジ・セボネナラシ】現ファン:3,877字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086844293636

〇祠を直す男と助手、そして怪異の話です。

☆怪異である女の話から物語の全容がわかりそうでわからないのですが、二人の間に横たわる因縁のようなせつない感情がとてもよかったです。



11【第66怪異討伐分隊の記録/02ンジャ】SF:3,881字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086582518684

〇祠が壊された後、呪われまくった世界で戦う人たちと強力な助っ人の話です。

☆結構バカバカしい開幕なのですが、とても強そうな怪異と強力な助っ人が気持ちいい祠壊しバトルです。寺生まれっぽい助っ人が頼もしくていいですね。



12【この祠って、/沈丁花】ホラー:3,893字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086531859625

〇祠へ肝試しに向かった少年とそこで出会った少女の話です。

☆こういう雰囲気で出てくる謎めいた少女はとてもいいですね。最後に視点が切り替わったのも効果的だと思いました。



13【夢の中で祠を壊す砂塔ろうか/】ホラー:4,126字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086552625244

〇猿夢のような世界で行われる祠壊しとその顛末の話です。

☆夢の中で幻想的に祠壊しが行われて、一体どんな物語が隠れているのかと思えば……最高に罰当たりです。これには霊能者のおじさんも苦笑いです。



14【祠壊しバイト/黒猫夜】現ファン:4,679字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086740497655

〇少しずつ祠を壊して直していく話です。

☆祠への信用という意味での信心と祠そのものの物体の関係性について書いてあるお話だと読みました。この後、主人公がもらった高額な報酬を一体どうするのかが気になりました。



15【祠を世話したお前が悪い/杉林重工】現ファン:4,501字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086652944978

〇祠を世話する老人と対立する若者と生まれた怪異の話です。

☆雰囲気ある怪異描写に繰り広げられる殺戮シーンが圧巻です。祠を壊す理由もしっかりあり、村全体の問題になっているのも面白かったです。



16【とき遅きに失す/雨藤フラシ】ホラー:4,836字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086637726222

〇常に遅刻をしている男と壊された祠の話です。

☆祠を壊してからの怪異が丁寧に書かれている作品です。地味にものすごく嫌な祟り方をしてくる、しかも壊した本人以外にも被害が及んでいるのでかなりタチの悪い怪異でよかったです。



17【紫煙-僕と祠とおじさんと-/森野樽児】ホラー:4,979字

https://kakuyomu.jp/works/16818093086654606934

〇祠を壊したら現れたおじさんと怪異を退治する話です。

☆君死ぬよおじさんをとても有効に使っています。初っ端から怪しさ全開なのですが、読み終わるころには謎の感動がこみ上げてくる作品です!好き!

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