一話転生

『私、三条ほのか。15歳。今猫に追われています。

私はなぜか犬に嫌われやすい体質(?)で、犬に追いかけられたり、吠えられたりすることはあったけどまさか猫からも追われるとは。

「わぁぁぁ!こないでぇぇぇぇ!」

(あ、横に暗い道がある。)

暗い道の通った先には光の当たる迷路のような道が広がっていて、いくつか角をまがって、さすがにここまで追ってこれないだろう、とその先の薄暗い道に駆け込んだ。

すると、

(あれっ?何も、、、ない?)

確かに薄暗い道に駆け込んだはずなのに、そこには何もない空間が広がっていた。

(とりあえず歩いてみるか、、)

てくてく、、。てくてく、、。

しばらく歩いてみると何やら影のようなものがぼんやりと見えた。

(あれは、、人、、?)

(うーん、とりあえず声をかけてみようかな。)

「あの~、、」

「にゃ!?」

「え!?猫!?」

なんとそこにいたのはついさっきまで私を追ってきた猫だった。

「にゃ!?にゃにゃ~んにゃにゃ!?」

「え?なんて言ってるの?」

(猫語かな、、、?)

しばらくするとその猫は意思の疎通が上手くいっていないことに気付いたのか、

「アウラス・リスカーベラ」

という妙な呪文のようなものを唱えたかと思うと、

「よしっ、これで僕の言っていることがわかるようになったよね。」

「え!?猫が日本語しゃべってる!?」

「いや、君がこっちの言葉をわかるようにしただけだよ。」

「えーっと、今回のことはごめんね?何か君から僕の知人に似ている匂いがしたからさ、つい追いかけちゃったんだ。そしたら君はこっちの世界に迷い混んじゃったみたいなんだ。」

「こっちの世界、、?」

(ここはさっきの世界とは違う、、的な?そんなことはないよね?物語じゃあるまいし、、)

「えっとね、こっちの世界というのはね神様や天使、妖といった君たちのいる世界では伝説上のものとされているものたちが住んでいるところなんだ。」

「えーっと、いわゆる異世界的な?」

「うん。まあ簡単に言うとそんな感じかな。」

(そうなんだ。。というか、猫の知人に似ている匂いだったのか。何か不思議な気分。その知人って誰なんだろう、、?)

「いや、こっちの話だから気にしなくてもいいよ。」

(え!?今、心を読まれた?)

「うん、ごめんね。心の声、聞こうとしたわけじゃないんだけど聞こえちゃった。」

(まじか、、)

「あ、そうだ。それでね君、今までいた世界には帰れなくなっちゃったんだ。ごめんね。」

「えぇっ!?」

「それでだ、代わりと言っちゃ何だけどさ、他の世界、、君たちの世界で言う異世界ってやつに転生させてあげようと思うんだけどさ、どんな見た目で転生したい、とか何か希望あったりする?」

「え、、、えーっと、ひとつ聞いて良い?」

「なに?」

「今、私の体って現実世界でどうなってるの?」

(あの薄暗い路地に倒れているんだとしたら、、嫌だなー。。)

「あ、その心配はしなくて大丈夫だよ。現実世界で君の体は消えちゃったからね。いわゆる、神隠し的な感じになってるんだ。」

「へー。。え!?」

(ってことは跡形もなくなってるってこと!?)

「まあ、存在はしてたことになってるけど、見た目はもうなくなっちゃったかんじかな。」

「、、、そっか。。」

そこでほのかは、唯一の友、沙綾のことを思い出した。

(さっちゃん大丈夫かな、、。)

「その子かー。きっと大丈夫だよ。時間が解決してくれるんじゃないかな?」

「そう、、だよね。」

「で、何か希望ある?」

「うーん、、強くなりたいなぁ。あとは美肌で、動物に嫌われたくないな。」

(来世こそは、、。)

「そっか。それ以外は、、?」

「無いよ。」

「オッケー!じゃあ、いってらっしゃーい!」

次の瞬間雲のような地面が抜けて落下していた。

「まって、、、あなたは一体何者なの、、?」

(いちばん重要なこと聞くの忘れてたよ、、!)

その問いが聞こえたのかどうか、猫は笑顔で微笑んだだけで、何も言わなかった。』

ーーことを今、思い出した。

私は気がついたら草原にいた。

(空がきれいだな。。)

(あっ。そうだ。今世はどんな見た目なんだろう。)

「いや、それ以前にここ、、、どこだろう?」

(まあいいか。とりあえず町が見えるし、今昼なみたいだし向かってみよう。)

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精霊樹は知っていた 藍無 @270

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