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果たして、彼が見ていたのは本当に病から来る幻覚だったのか。
始めて此処へ訪れた際、彼が話していた奇妙な出来事がある。
『オレさ、前に近くの神社でヒトを助けたんだ』
『そのヒトさぁ、今どき珍しく真っ黒な着物着て髪がめっっちゃ長いの!』
『そんで、道端に倒れていたから引き摺って家まで運んだんだよ』
『でも、何故か母さんも父さんもそのヒトが見えて無いみたいでさぁ……』
『それからかな?そのヒトがオレから離れなくなったの』
『名前は✕✕✕さんっていうんだけど』
『何でも、オヤシロ?とかいうそのヒトの家が壊れたから出て来たとかで、町に降りてくる最中に途中で力尽きたみたい』
そう言って、笑いながら彼は何も無い処を見つめていた。
姿を消した彼は、本当にただの行方不明だったのか。
それとも、その何者かによる誘拐──────もしくは、神隠しだったのか。
今となっては、知る術も無い。
終
とある患者の消息 冬生まれ @snowbirthday
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