誤解と友達
次の日、俺は何事もなかったように学校に来た。周りには話す人なんていない。ただただ孤独で予習するだけ…いつもながら寂しい存在だなぁ…消えたいなぁ…
「織本くんおはよう〜」
虚無になっている俺に須川が話しかけてきた。
「っ…」
俺はごく普通の『おはよう』という言葉に少し戸惑ったのと同時に喜びがこみ上げてきた。
「…何かたまってんのさ。生きてる?瞬きしてるから生きてるか。」
「…何その判断基準」
「だって事実じゃん。瞬きしてるってことは生きてるってことじゃん。」
「いやそりゃそうだけどさ…」
「ところで織本くん。今日一緒にお弁当食べない?」
「…なんで急に?いつも他クラスとか行って食べてなかったっけ?」
「いや、購買で買ってそのまま中庭で食べてる。で、ときどき友達見つけるから日替わり相席的な」
「何それ…」
「真央ー!何やってんの?」
すると突然須川の友達の佐々木が話しかけてきた。
「何?もしかして二人できてるの?」
ニヤつきながら佐々木は言ってきた。
「違うって〜ただ普通に挨拶してただけだし」
「まあそうだろうね〜だってこいつ陰気臭いし」
佐々木は俺にボソッと聞こえるように言ってきた。ものすごく腹が立つけど言い返す言葉も思いつかなかったから何も言えなかった。
「当たり前っしょ!私だってこんなやつ嫌だもんw」
「…え」
俺はその言葉に少しショックを受けてしまった。
昨日の言葉、帰り道が全て嘘だと考えていると少し吐き気と怒りが襲ってきた。
キーンコーンカーンコーン
「あ、ホームルーム始まる。そろそろ座っとこーよ」
「うん、わかった」
あっという間に昼休みになった。いつも昼は教室で食べていたが今日は場所を変えたほうがいいと思って食堂に来た。いつもと同じように、1人で食べていた。
はぁ…何で俺はあいつのことを少しだけ信じたんだろう…やっぱり俺は馬鹿そのものだな。
「…織本くん。」
後ろから今は聞きたくない声をかけられた。
「何…?今更謝ろうとでも?」
「…ごめん。私ね、人に共感することしかできないダメ人間なんだ。だからあの時も…ごめん、昨日の今日なのに。お詫びにジュース奢ってあげるからさ」
「…」
俺は何も言葉が出てこなかった。別にいつものことだから怒ってないし、なんなら許したい。でも口が動かなかった。
「…そうだ、メール交換しようよ!お互い必要になってくるかもだしさ」
「…別に、いいけど」
色々な思考が俺を襲ってまた流れに従ってしまった。俺も人のことを言えないな…
「これからよろしく。友達として…ね」
「…勝手に言ってろ」
友達という言葉がとても嬉しいと同時に恥ずかしさを感じてしまった。これから何か変わるってくれると思いたい。
無能な僕と輝く君 むおだ はや @mu1015
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