無能な僕と輝く君

むおだ はや

夕暮れ

「ねえ、何やってんの?」


俺が学校の屋上から飛び降りようとしたその時、同じクラスの須川が屋上にやってきた。俺は驚きながらも答えた。


「…別に、須川さんには関係ないでしょ。ほおっておいてよ。」


俺は彼女に冷たく言った。


「はあ?関係ありまくりなんだけど?」

「何がだよ…」

「…不快。」


俺は彼女の言葉に動揺してしまった。すると彼女は


「今すぐ死なれたら私のトラウマになっちゃうでしょ!しかも私結構屋上くるんだからここ来るたびに思い出して大迷惑!」


彼女は怒りながらそう言った。


「…そんなん知るかよ!こっちはずっと耐えてきたんだよ…毎日喧嘩する親、成績にうるさい教師、からかってくるクラスの奴ら…もう嫌なんだよ俺は!!だからもう放してくれよこんな理不尽から…」


つい今までのことが込み上げてきて怒鳴ってしまった。怖がってしまったかな…


「……」


なんで無言なんだこのままもう飛び降りろと?


「…あーもう!私こうい励ますの苦手なんだから困らせないでよ!織本くんさあ…!頭いいんだからちょっと冷静になればわかるっしょ?」

「…何がだよ」

「…わかんない」


俺は思わず口を開けて唖然としてしまった。何がしたいんだ本当に…


「…お願い、飛び降りるのはやめて。」

「何でだよ…」

「…私より才能持ってるやつが先に死ぬのはいやだ。」

「俺は才能なんか持って…」

「持ってるし!何よりクッソ頭いいじゃん!私は持ってないよ。耐えること、努力する才能をさ。」

「…」

「…ねえ、途中まで一緒に帰ろうよ。帰りにアイスでも買ってさ。」

「……わかった。」


なんで俺は今、返事をしてしまったんだろう…このまま飛び降りればよかったのに。と、家に帰ったときに気がついた。

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