第23話 初デートで初プレゼント扱いされた
「そういや、もう足は大丈夫なん?」
昨日街中で四月一日さんと会った時には、特に引きずる様子もなく普通に歩いていた。
もう歩く分には問題ないのだろう。
週末の下校時も一緒に帰ったけど、普通に歩いていた。何故だか初めて送った時のあれ以来、一緒に帰るのが普通になっている。解せぬ……
そしてちょっと昨日の休日の事を回想してみる。
回想しないわけにもいかないんだってば。
だって、あの鞄を見て見ろよ。
前垂れセミロングの黒ロリのアクキーを。
それについて説明せざるを得ないだろ!
あの日俺達はラーメンを食べた後、俺の用事……つまりはあのアニメショップへと行った。
すると何故か四月一日さんも付いてきていた。
断るのも悪いし、まぁ別に良いかと思ったんだよ、減るもんじゃないし。
「月見里君がどういうのが好きなのか気になって。」
「そうですか。」
まぁ別にえっちぃコーナーに行くわけでもないし良いけど。
いや、そもそもアニメイ党にはそんなコーナーはない。
獅子の穴とかスイカブックスにはあるけど。
俺はラノベコーナーでいくつかの新刊と、アクリルキーホルダー……アクキーをいくつか購入した。
別に鞄に付けたりはしないけど、俺の部屋には所謂祭壇がある。
百均とかでも売ってる棚と、本棚の側面を利用して色々飾ってあるのだ。
「妹系が多いね。」
うっせぇ。妹キャラ好きではあるが妹好きとまでは言っていない。
だって実妹がアレだぞ。ブラコン拗らせたやべぇやつだぞ。
「愛妹転生シリーズか。私も好きだけどね。」
何でも作者が同じ県に住んでるらしいけど。
サイン会に行ったことあるけど、まぁ美人でしたよ。
大和撫子ってこの作者のためにあるような言葉だなと思ったよ。
「あいまいな転生ってなんだよって思ったのがきっかけだけどね。」
曖昧と愛しい妹を掛けた転生もの。
何でも作者が学生の頃から書いていたものが書籍化したらしく、サイン会でも拝見したけど作者はまだ若い。
アニメ化や映画化もしており、単純に凄いと尊敬している。
残念ながら?今では結婚してるらしいけど……
付き人のように後ろに立っている強面の人が旦那さんだと言われている。
あのの眼付はヤバイ。たまにアイドルのサイン会とか握手会で現れるやべぇファンが出てくるけど、制圧されるだけじゃ済まないだろうなって思ったくらいだ。
端っこにある小さな売り場スペースの前で立ち止まった。
VTUBERとかコスプレイヤーとかのグッズや写真などが置いてあるコーナーだ。
「あ、ソレも買うんだ。」
「ん?あぁ。あんまりVとか配信者とかには興味ないんだけど、この人はレイヤー時代から応援してるから。」
そういや地方だと、地元のVTUBERとかコスプレイヤーのグッズとか写真とか置いてあったりするんだよな。
この辺は、都会ではないけど田舎ではない中途半端なとこだし、この人のコーナーがあるのは正直驚いたけど。
「ふ~ん……浮気者。」
よく聞き取れなかった。なに者って?
新しく入荷したと思われるポストカードと、ぬこと並んだアクキーも購入する。
そういや……何となく見た事あるような気がするんだよな、推しのレイヤー兼配信者である【ぷちめろん】さん。
俺は籠に入れた商品を持ってレジへと向かう。
「ちょっとお花摘みに……」
四月一日さんは離れてしまったので、外で待ち合わせをする。
「あ、間違って2個買っちゃってた……別に保存用と普段使い用でも良いんだけど。」
店を出ると、お花摘みに言ってくると四月一日がトイレに向かったので、俺は戦利品を確認していた。
ポストカード系とか、平べったいキーホルダーはたまに2個買っていたりすることがある。
今回も恐らくはそんな感じかなと思ってる。無意識に必然の2個を手に取ったわけではない……はず。
だってほら、今俺の頭の中に浮かんでいる思考はなんだ?このダブった1個をどうしようとしている!
トイレから戻って来た四月一日さんに向かって、右手に持っていたアクキーを取り出した。
「要らないって言われるかもしれないけど、付き合ってくれたお礼にこれあげる。」
先程最後に購入した、何故か四月一日さんがちょっとご機嫌斜めになったぷちめろんさんのアクキーを手渡した。
うん、なんか超複雑な顔をしているんだけどなんでだろう。
良くわからない俺への高好感度があるなら、何を貰っても嫌だとは思わないはず……ってどんだけ上から目線な事思ってるんだ俺は。
心の中を読まれたら、ただの嫌味な奴じゃないか。
「あ、ありがと。」
複雑な顔しても受け取ってはくれるんだ。
はっ!?
俺はどんどん四月一日さんペースに陥ってないか?
思考のどこかに必ず四月一日さんがいるのは何故だ?
普段の俺なら、確実に1個は保存用とか言ってるはず。
相手が貰っているいらないはともかく、お礼にとか言って渡したりはしないはず。
「あ、早速つけてくれるんだ。」
「初めてのデートで初めてのプレゼントだからね。」
「いや、それは違う。」
付ける時に嬉しそうにしてたから、まぁ良いかなんて思った俺の安堵を返せ!
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