第19話 一方そのころ四月一日家では

※※※その頃の四月一日家※※※



「隣にいて何も起きなかったでしょう?」



「確かに。」



「私はお父さん一筋だからね。今更イベントは起こらないよ。」




「それよりもお姉ちゃん。アプローチ掛けるのやめて。」



「なんで?普通に会話してただけじゃん。」



「多分、私の黒髪ロングよりお姉ちゃんの黒髪ボブの方を見てた。」



「じゃぁ黒ロリでも着てれば良かった?」



「それは私も萌えちゃうからだめ。」



 四月一日家は一家揃ってヲタクである。



 姉はコスプレ配信をして、その収入を学費の一部を補填している。



 姉曰く、個人でやってるしょーもない配信だから、別に儲けたりはしていないとは言っているが。



「あら、それじゃぁ私も久々に何か着ようかしら。」



「ちょっと母さん。それはちょっと止めて?」


 

 父親は母さんと呼ぶ。母親はお父さんと呼んでいる。



「あら。私じゃ見るに堪えないとでも言うのかしら?」



「そういう意味じゃ……うちにはそんなにヲタグッズを購入するお金はないって意味で。」




「現役時代のが着れるわよ?そこまで体形変わってないし。」



「というか、穂寿美のその隣接理論。端から見るとヤバイよね。」



「……本当にそれだけでガチ恋するわけないじゃん。確かにきっかけや方便として言ってるけど。」



「おおう。ここでぶっちゃけたよ。」



「色々積み重なってるのは本当だし。月見里君の中で私の存在が大きくないのか、昨年の事殆ど覚えてないみたいだけど。」




「隣接するだけで子供が出来たらコウノトリさんもびっくりだしねー。ってコウノトリも大概だけど。」



「マザーズアイによれば、無関心でもないと見えたわよ?あとは若い者同士次第ってトコかしら。普通に好きなら好きって言わないと後悔しそうだけど。」



「言えないから回りくどくなってしまったんだけど、それは多分遺伝じゃない?そもそも前作プレイして同じような関係だったみたいじゃない。」




「私達は常に一緒だったり、レイヤーとカメコ、同人作家と売り子、学校では同じクラスで常に隣の席、委員会じゃないけど同じ部活……あら、確かに穂寿美の言う通りね。」



「ローアングル撮影してたらそのままってのも聞いた。」



「あの頃は若かったからね。」



「あの頃は若かったからなぁ。」



「それでデキたのが私っと。」



「それは違うわ。ちゃんと高校卒業してからだから。結婚してからだから。」



「卒業して間もなく結婚したって聞いてるけど。」



「まぁそうね。20歳になる前に夢月を産んでるし。そういう早熟的意味ではサキュバスは私かもね。」



「結婚後は相当絞り取られました。」



「話が段々エロくなっていってるのでおしまい。未成年の穂寿美もいるんだよ。」



 などと四月一日家の他愛もない団欒が行われていた。







※※※翌日の四月一日穂寿美※※※



「そういえば穂寿美。昨日は洗濯機に下着が2枚入っていたけど、体育祭で汚れちゃったの?」



 お母さんは絶対に体育祭で汚れたとは思ってないはずだ。



 月見里君を連れてきた時、私は部屋で着替えた。


 

 上から下まで一式。



 そうよ。濡れてたんだもの、着替えるに決まってるじゃない。



 本当は宝箱にでも入れて保管しようと思ったよ。


 

 でも、実際には汗も吸ってるから……色々とまずいじゃない。



 美少年だろうと美少女だろうと、排泄物は一緒。


 

 汗が良い匂いなわけないって。普通に考えればほぼ一日穿いていた下着よ?



 良いわけないじゃない。



 断腸の思いで洗濯を決心したよ。



 なんで濡れてたって?だって保健室まで月見里君におぶさってたんだよ?



 胸は背中に当たってたし、なんならちょっと擦れてたし。



 それに、月見里君……がっちり太腿掴んでたんだよ。もっと膝に近い所でも良いじゃない?



 って膝打ってるから避けたんだと思うけど。



 6月の体育祭だよ?冬みたいにストッキングなんて穿いてないんだって。


 

 てか体育祭なんだからそもそも体操服だし。競技後直ぐだからジャージも穿いてないし。



 つまりは直に太腿だよ?


 

 何なら微妙にお尻の一部も掴まれてた……ような気がする。



 それで、そんな状態だから……恥ずかしながらも色々反応しちゃったわけで。



 下着がちょっとエラい事に。



 そりゃ上下一式新しくするよ、一緒の食卓囲うわけだし。



「まぁ、深くは聞かないでおく。もうそういう年頃なのね。」



 お母さん色々拡大解釈してるような?



 弁明出来る自信はないけど。


 

 多分、自慰したとか思ってない?



 してないよ?本当に。


 

 みんな勝手に私を神格化してたりするけど、同じ高校生だからね?クラスメイトのみんな。


 

 率先して下ネタ言わないだけで、興味がないわけじゃないからね?



 それにしても、本当に月見里君てばなんとも思ってないのかなぁ。



 ちょっとくらいは意識してくれたりしても良いと思うんだけど。



 過去に何か嫌な事でもあったのかなぁ。



 ……明日、迎えに来てくれたらキュン死確定案件なんだけどなぁ。



 心臓止まっちゃったらごめんね、お母さん。




 あ、でも月見里君を思って自慰した事は……あるよ?


 

 そりゃぁJKですもん。

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