第17話 四月一日家の食卓
「いただきます。」
そして四月一日さんが普段着姿で降りてくると、食卓たるテーブルに着いた。
俺の正面に四月一日さん、四月一日さんの隣にお姉さん。
お誕生日席にお父さん、お姉さんの向かい、つまり俺の隣にお母さんが座っている。
この配置ってどういう事だろう。
俺がいない場合の布陣を想像してみよう。
俺の場所が本来のお父さんの場所なのか。
それとも、普段は特に決まった席などなく、早い者勝ちで適当なのだろうか。
ある程度俺の事を知っていそうなこの家族であるならば、四月一日さんは俺の隣にしそうなものだけど。
だって隣接ユニット云々言ってた人だよ、なぜ隣にこない。
はっ!?
まさかこれが揺さぶりというやつか?
焦らしたりするのは、女性の駆け引きだと何かで聞いたような読んだような気がしなくもない。
ちなみに、お姉さんの名前は四月一日夢月さんという。
なんでもサキュバスみたいだろ?とお父さんがツッコミを入れると、ついお姉さんの全体を見てある一点で止まってしまい。
「どこ見てどんな感想抱いているのよっ」
そう言われてしまったが、サキュバスというと通常ボンキュッボンをイメージすると思うが、残念ながら夢月さんには最初のボンがない。
それは実は四月一日さんにもお母さんにも言える事なので、恐らくは遺伝なのだろうけれど。
「私のせいだって言いたいの?」
というお母さんの一言によってオカズが一品没収されていた。
そしてなぜかその一品が俺のお皿に乗せられていた。
もし八月一日に産まれていたら、八月一日もしくは八月朔日と書いて「ほずみ」となっていたかもしれないとの事。
その場合、次女である四月一日さんの名前も別の名前になっていたという事らしい。
姉妹揃って読みが「ほずみ」ではややこしい。
しかしよく考えてみよ。氏名の欄に「四月一日八月一日」と書かれていたら、それを見た人はなんて思うだろうか。
ネタ?ちゃんと書いてくださいと言う?何にしても、佐藤一郎のように華麗に流されたりはしないだろう。
そういえばどこかに
他にも名前と言えば、名前に月を付けるのはあまり良くないという話もある。
月は満ち欠けをするため、複数の顔を持つ子になる。
月は太陽の光を反射して光るので、自身では開花出来ないとか言われている。
でもそれって、裏方人生でありたい人にはピッタリだと思うけどな、とも感じていたりする。
取り巻きとかモブで良いじゃんと思ってる人には良いかもねって。
もしくはライバルの悪役令嬢とかにもぴったりだ。
ヒロインがいなければ悪役令嬢も輝かないからな。
って俺はこの短い時間に何を想像しているのか。
家族の団欒にクラスメイトとはいえ部外者が一人混じっているわけで、話題が絶えるともくもくと食べるしかなくなる。
ちなみにメニューは、から揚げ、チンジャオロース、わかめと豆腐となめこの赤味噌汁、キャベツ盛り合わせ、秋刀魚一匹(開きではない)、白米だ。
これ、絶対2食分だろという献立だった。バランスは……そこそこ良いのか?
そして、この数分四月一日さんは一切喋っていない。
ほぼ俺の心の中の声と、目の前の夕飯を頬張る時間だけだった。
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