第12話 ライバル?幼馴染・雅
「約束……守ってね♪」
確かに一着取ったら条件が同じとか言ってしまった。
言ってしまったよ。
でもな、付き合うって、別に男女の付き合いだけじゃぁないんだぜ。
「じゃぁ今日は委員長に付き合って、一緒に帰る事にするよ。」
「なっ!」
そんな驚いたというか、騙したな!って顔されてもな。
嘘は言っていない。付き合うって部分に嘘はない。
ただそれが、男女交際的な付き合うではなく、帰るのを付き合うと言っているだけで。
「しくった……男女のくんずほぐれつ的な付き合いと言うべきだった。日本語恐るべし……」
まだ諦めない委員長の思考こそ恐るべしだよ。本当に俺の何がどこが良いのだろうか。
「いや、その言い方だと、男女交際的な付き合うではなく、放送出来ない突き合うになっちゃうぞ。」
「あ、良い所にいた。真宵、ちょっと一緒に来て。あぁ借り物競争ね。四月一日さん、悪いけどこの幼馴染借りていくね。」
「あ、あぁうん。借り物競争じゃ仕方ないよね。ツバつけたら幼馴染でも容赦しないから。」
「こわっ。そんな事しないよー。ほら、私のお題、【幼馴染。幼馴染がいない場合は一番付き合いの長い異性の友人。】だからさ。」
一応、俺が雅と幼馴染だという事は結構知れ渡っている。
四月一日さんも一応は知っている、あくまで情報としてはだろうけど。
雅のお題、幼馴染も付き合いの一番長い異性の友人も、俺ならどちらもクリアしてるんだよな。
「真宵も観念すれば良いのに。」
雅にドナドナされていく……
「なぁ、当たってるんだが。」
手を繋いでゴールしなければいけないのは仕方がない。
借り物競争のルールだからな。
だけどな、何故だか雅は俺の腕を組んで走っている。
そのせいか、俺の肘や二の腕が雅の胸に食い込んでいるんだ。
雅が巨乳だったら挟まっているぞ。残念ながら希少価値とかステータスとか言われる程しかないんだけどな。
いや、めり込むって言うべきなんだろうな、もし巨乳だったなら。
「当ててるのよ。」
「いやほら、お前、あの観覧席にいる四月一日さんの顔を見て見ろよ。大魔神怒るになってるぞ。」
「雅、何をにまにましてるんだ?」
「別に?(一番気になる異性という本当のお題はバレずに済んだね。ダミーで紙を用意していて良かった。)」
「すけこまし。」
ぼそっと係の女生徒の声が俺の耳に入る。
何故あのお題で連れて来られた俺がそのような事を言われなければならない。
選んだのは四月一日さんだし、雅だし。
雅と別れ、俺は自分のクラスの席へ戻る。
あの大魔神怒るの四月一日さんのところに。
いや、俺達別に男女の付き合いじゃないよね?
怒られたり憎まれたりする間柄じゃないよね?
「説明してもらいましょうか、月見里君。」
「お前、天〇道場の親父さんみたいな顔とセリフやめっ。」
心なしか四月一日さんの背後から「どんどろどろどろ♪」という効果音が流れていそうだ。
それに、つい俺も四月一日さんの事をお前とか言っちゃったよ。
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