第10話 体育祭の準備
「なぜ俺が二人三脚に。」
誰が何の競技に参加するかの話し合いをホームルームでしている。
「玉入れでも良かったんだけどね。違うの掴んじゃいそうで……」
教壇に立って進行しているため、俺の耳元でそう呟く四月一日さん。
それ、大分NGな気がする、色々アウトだよ四月一日さん。
「男女混合騎馬戦でも良かったんだけどね、でもそうすると立ち位置が難しくて。」
確かに女子が上になるという事は、両脇の土台どなる人は女子の股間に腕を差し込むというわけで……
って良いのか。高校でそれって良いのか!?
開け、ポンキッキン♪とか言って、昔お笑い芸人が元アイドルの股間に腕を入れた事があったけど……
「流石に月見里君以外の人に身体は差し出したくないし。土台やれる程の筋力はないし。妥当かなって。」
俺なら良いのかよ。
一人二種目は参加しなくてはいけないらしい。
四月一日さんは他に借り物競争と、男女混合リレーに参加するようだ。
運動部ばかりは卑怯だからと、運動部は男女各1人というのが決まっている。
俺も何故だか他に借り物競争と、クラス5人が強制参加させられる男女混合リレーにも参加が決まった。
解せぬ……
「何だかんだ全部同じ競技なんだな。」
声を掛けてきたのは松井。
ちょっと丸くなった松井だ。
何だかんだと普通に付き合えば、悪い奴ではない。
「俺の意志はほとんどなかったけどな。」
「月見里君。」
「却下。」
何を言いたいかわかってるからだ。
どうせ二人三脚の練習をしましょうって言いたいんだろ。
「むぅ。二人三脚とリレーのバトン渡しを練習しましょうって言おうとしただけなのに。」
おっと、バトンもかよ。
ってか、順番はまだ決まってないだろうに。
普通に考えれば、男女共ラストに運動部を持ってくるだろ。
ということは、男子は1走目か3走目、女子は2走目しか空きがない。
「受胎って事を考えれば、私が受け取るのが良いかしら。」
何か怖い事言ってるし。
「
「いや、もうキャラ崩壊隠す事しないのな。」
「委員長は仮の姿だからね。」
普通下ネタは男子がするものだろう。
女子が、一応見た目清楚な委員長キャラがするもんじゃないだろう。
というか下ネタって事は、隣接するだけで子供が出来る云々がマジもんなのか疑わしくなってくるぞ。
「でもぶっつけ本番で上手くいかないのは月見里君もわかるでしょ。」
そういや呼び方に関しては今まで通り苗字で通してもらった。
呼ぶのも呼ばれるのも慣れないからだ。
そりゃ、未来は何が起こるかわからない。
違う呼び方をする未来があるかもしれない。
でも今の俺にはその線上には乗っていない。
「確かにそうだけど……」
「そういうわけで、練習の時間がやって参りました。」
何故かバトンを渡す練習が始まる。メンバーは俺と四月一日さんの他にリレーメンバー全員だった。
走る順番は、
1走目と3走目はくじ引きとなった。
「はぁっはぁっ。」
声だけ聴くと随分と艶めかしい。実際にバトンを受け取る時の俺も少しだけドキっとせざるを得なかった。
豊かではないから、体操服がたゆんたゆんとするわけではないけど……
運動も良い方ではあるけど、1時間もずっと走ってはバトン、走ってはバトンを繰り返していれば誰だって疲れる。
漫研部員が実は走るのは早いというのは、創作の中だけのことである。
「このまま二人三脚の……」
「流石に日を改めような。」
疲れたため、純粋に違う日にやるべきだと思った。
「よっしゃ。言質いただきました。」
両の拳を見て、俺はハメられたと思った。
「本当、付き合っちゃえば良いのに。」
五月一日さんの言葉を聞き逃さなかったのだけれど、反論する程の体力も残ってなかった。
親友だからか、五月一日さんは四月一日さん側の人間に思える。
「ほんとにね。昨年なら俺達にもワンチャンとか思った事もあるけど、今ではそんな隙はないとわかるしな。」
藤田が何か言ってるが、それでも告白してる男子はいるみたいだぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます