第7話 委員長と副委員長

「そんなわけで、今年度の委員決めを行うぞー。」


 前には教壇に担任の葛西先生、後ろには遠山先生が陣を取っている。


 件の松井君は隣の列の最後尾、遠山先生は真後ろに立っている。


 松井君……もう松井で良いか。松井が最後尾なのに俺も最後尾。


 つまりはマ行からヤ行が他に5人いるというわけだ。

 

 前から後ろまで6人、男女それぞれ6列ある。うち真ん中2列は7人だけど。


 出入口が7人だと邪魔になってしまうかららしい。


 つまり遠山先生の目線は、俺の方にもすぐ近くというわけだ。


 これは漫画本とか出そうものなら、一発で没収案件だ。


 尤も現代では少年雑誌ならともかく、スマホで済ませるのが多いから、没収されるとすればスマホだろうけど。



「昨年と同じで良いと思いまーす。」


「確かにー。」




「立候補はいないかー?」


 部活、特に運動部に入ってる奴はやりたがらないだろう。


 内申を気にする人や、部活あんまり頑張らない系に白羽の矢が立つのは仕方がない。


 俺も隠れ漫研には入っているが、昨年男子の委員長をやったばかりに、3分の1は顔を出していない。



「じゃぁ、他薦ってのも違うかも知れんが、昨年の二人に任せても良いか?」



 いや、なんでそこで笑みを浮かべんだよ、旧委員長。



「はい。良いですよ。もちろん月見里君も。」



 いや、何俺まで勝手に承諾してくれてんのさ。



「と、嫁……旧委員長がそう言ってるが、旧男子の委員長の月見里はそれで良いか?特権として、修学旅行の座席とか部屋割りとか優遇されるぞ。」



 今嫁とか聞こえたんだが……何それ。四月一日さんのあれこれは教師公認なのか?


 やっぱり俺の恋愛はもうじき完結なのか?


 外堀既に埋まってるってやつか?


 沼にハマってるのか?俺は。



「えーまー良いですよ。運動部に命かけてるわけでもないですし。昨年やってるから多少何をやるか分かってますし。」


 仕方なく承諾する。実際誰も立候補者がいない事から、誰もやりたがらないのは事実だ。


 例の特権云々程度ではバランスが保てないのは、昨年やったから理解出来る。


 そういや、その特権とやらで、スキー旅行のバスで四月一日さんが俺の隣に座ったんだっけか。


 スキーの班分けとかも。


 あれ?俺の特権てそういえば何もしてないな。


 まぁ部活の方で、締め切り延長とかはあったような気はするけど。



「今年もよろしくね。そして今度こそもごもご……」


 あ、これ確実に子供云々とか言いそうだったな。


 だから隣接ユニットだけじゃ出来ないんだよ、そういうのは。


 なお、この学校では性別不平等とかになるとかで、委員長副委員長というのはなしで、双方委員長という事になっている。

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