第4話 もっと回想させられる
「それで、他に何があったっけ。」
豆乳とかをあげたのは確かに何度かあった。
一回や二回ではないけど、それだけで爆上がりしている理由にはならない。
初めましての時の好感度を0とするならば、せいぜい20くらい?
教科書を貸したり、委員会の時に荷物を持ったりは好感度的には1~3くらいしか変動しないでしょ。
「文化祭の時を思い出して。コスプレ喫茶をやったウチのクラスであった出来事を。」
四月一日さんに言われて、11月に行われた文化祭の事を思い出す。
コスプレ喫茶に決まったは良いけれど、衣装はどうするんだってなったっけ。
裁縫が得意な子と、家庭部に属する子をメインに手作りが半分を占めていた。
自分は既成の安いやつ(ド〇キ)で良いというクラスメイトも半数近くはいたけれど。
委員長は、委員長と言えば魔法少女でしょ、という誰かの声があがって、深夜アニメでやってたちょっとえっちな魔法少女の衣装になったんだっけ。
当然先生による審査はあったけれど、過激でない事を条件にクリアしたのは覚えている。
というか、縫ったの俺だしな。
俺、そのアニメ見てたしな。
そして推しのキャラの衣装作りって事で、張り切り過ぎたしな。
女子のサイズの問題もあるから、本来は女子の衣装は女子がってなったんだけど。
1年の内は男子も家庭科の授業があるため、俺の裁縫技術は勝手に戦力に含められていた。
誰が何を着るというのはギリギリまで内緒だったが、俺が作った魔法少女3人分の衣装の一つは、四月一日さんの元にあった。
最初から四月一日さんのために作ったのか、という程ぴったりだったのだが……
本番当日、無理な動きがたたって衣装の一部が破けてしまって。
「そういや、慌てて直したっけ。」
本来は脱いで貰ってきちんと直したかったんだけど。
「時間もあまりないし、私がそのまま手直しをお願いしたんだよ。着替えるとその分空きを作って他の子に迷惑をかけちゃうし。」
「あ、そういえば今更だけど。あの時ちょっと触れちゃったよね。ごめん。」
当時も謝ったりしたのだけれど、改めて思い出して、不快な思いをさせてしまったらと、つい謝罪の言葉を口にしていた。
具体的には胸と腰のあたりを手の甲等が触れてしまっていたのだ。
「なんであの時ちゃんと揉んでくれなかったのよ。」
という、聞いてはいけない言葉が聞こえた気がする。
「でもおかげでポロリとか大惨事にならずに済んだし。他の子に負担をあまりかけなくて済んだりしたんだよ。だからありがとうなんだよ。」
確かに男子に見られたりしたら大変な事になっていただろうなと思う。
俺は手直しする傍ら、衣装の下をちらりと見てしまったり、身体に触れてしまったりしたんだけど……
ある程度の好感度と仕事内容でチャラということか。
「そういやあの衣装は今……」
確か自分が着た衣装は自分で持ち帰るって話だったけど。
「家のクローゼットにあるよ。月見里君が触れたやつだし、洗わずに。」
「いや、洗えよ。」
普通そういうのは男女逆じゃね?と。
「話を聞いてると文化祭の時点で俺の株は既に大分高いみたいだな。」
「それで、他には何があるんよ。」
「1月に二泊三日で行った、1年生のスキー旅行を思い出してごらんなさい?」
まだ回想させられるのかよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます