無音

街に響くいろんな音

悲鳴

怒号

歓声


それが全てのみ込まれて

どこかへ消えて行ってしまった


どこに行ったの、と聞くと

どこでもない、と答えられた


どこへ行けばいいの、と聞くと

ここにいればいい、と言われた


お母さんはどこ、と聞くと

飲み込まれた、と話された


黒い竜巻がずっといる

私を取り囲んでいる

出口のない迷路を彷徨い

私は道端で息絶える


空になっていった世界は

ぽっかりとできた穴を見つめて

虚無の内側で皆は死んで

黒い世界で再び生まれる


声を発して助けを求める

黒い世界から出してほしい


それは反響していって

やがてブツリと切れたと思うと

無音になって、世界は終わった

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